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元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

大学で近代日独軍事史を研究する伊藤智央のエッセイ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います。

欧米では誰も知らない?!Lineがヨーロッパで広まらない決定的な理由

ドイツ ドイツ-政治・経済・文化

Lineは東アジアを中心に広がっていますが、欧米ではWhatsAppという類似チャット・アプリのほうが一般的です。Lineのことは、普通のドイツ人には知られていません。

機能は似ているのに何故でしょうか。Lineの問題点を考えてみました。

WhatsAppと比較した場合のLineの強み

LineでもWhatsAppでもどちらでもチャットができ、無料電話もできます。録音した音声や映像をメッセージとしても流せます。機能から考えると同じカテゴリーにあるアプリと考えていいでしょう。

ただし、Lineの大きな特徴といえるのはスタンプです。というのも、WhatsAppにはスタンプがないからです。

Lineの問題:ローカライゼーション

ではLineはこのスタンプという機能にもかかわらず何故欧米で広がらないのでしょうか。

欧米文化ではスタンプが好まれないかというと、そんな事はないです。確かに日本のほうが絵文字が発達していますが、欧米でも日本とは違う絵文字が発達していたことを考えると絵文字という情報伝達手段は普遍的に受け入れられるものでしょう。

問題は、海外からLineを利用している場合でも日本語が含まれるスタンプが多く表示されてしまっているということです。欧米在住の日本人にとっては問題ないかもしれませんが、日本人コミュニティを超えて広がるには、やはり現地語の仕様に合わせたスタンプが多く作られる必要があると思います。(赤枠)

スタンプメニュー画面 スタンプの例1
スタンプ画面例2

上のスクリーンショットでは、ドイツ語仕様で見ているにも関わらず日本語が見られます。

例えば、現地語のスタンプが少ないのであれば、Line運営会社が現地語に翻訳してあげるのを手伝うということによってスタンプの供給量を上げてあげれば、現地でも普及する余地は出てくるでしょう。

スタンプには断片的な文字しか含まれていないため、翻訳にはそれほど手間はかからないはずです。

このように日本語表示が出てしまっているのはスタンプの中だけではなく、他の箇所でも見られます。例えばデザインの箇所でも日本語が見られます。(下図、赤枠)

ラインの着せ替えデザイン

このように、日本語が多いと日本語を知らない人にとってはまず使いにくいという印象を与えてしまいます。

驚くべきことに、つい先日、無料コインをもらうために、Line3周年(?)の記念ビデオを見ましたが、これは100%日本語でした。私の携帯はドイツ語仕様なので、日本人だから日本語が出てきたわけではありません。

日本語のビデオをドイツで誰が理解できるのでしょうか。

ローカライゼーションの問題は命取りになる?

「Lineはアジアに特化したままでいい」という考えもあるかと思いますが、機能がほとんど一緒、かつ参加者の数が利便性に決定的な影響を持っているために、WhatsAppとの世界での覇権争いが今後起こることは十分考えられます。

それはmixiがFacebookと競合するようになった例を見ればわかります。基本的には同じようなカテゴリーにあったmixiは、機能でも劣り、参加者数でも劣ると認識されるようになったために、今はもうSNSとしては見向きもされていません。

欧米でも通用するスタンプ・コンセプトをせっかくもっているのですから、Lineは早急に欧州戦略を立て直すことでFacebookのような独占的地位を得られる可能性はまだ秘めているでしょう。

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