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元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

大学で近代日独軍事史を研究する伊藤智央のエッセイ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います。

宝石と罪人伝説の町・イーダー・オーバーシュタインの観光地3選

ドイツ ドイツ-観光

ドイツ西部にはイーダー・オーバーシュタインという街があります。人口3万人ほどの小規模の町なので、あまり有名ではありませんが、宝石の産地として知られています。

イーダーオバーシュタインはラインラント・プファルツ州の観光地

かつては、飾り物用の鉱石をかつては産出していました。下の写真のような結晶パターンがきれいな石です。今では観光客向けに、研磨した鉱石を飾りとして売っている店が軒を連ねています。ただこの町は鉱物だけで有名なわけではなく、崖を切り開いて建てられた教会もあり、人間と自然の歴史を感じることができる町です。

そのためここでは3つのマストな場所を紹介してみます。この3つを見て回るのに、通常は1日かかります。

鉱石とは何か

鉱物博物館

街の中心にある鉱物博物館には、街でとれた鉱物以外にも、世界からの鉱石が飾られています。中でも「クリスタルの間」はトン級の重さの鉱石が飾られています。 大きい岩になると、3メートル以上の高さにもなります。

クリスタルの間に飾られた巨石

鉱石に特に興味があるわけではない私でも、鉱石が描き出す不思議な模様は見とれてしまいます。博物館のショップでお土産用の小さな鉱石をついつい買ってしまうところでした。

イダ―・オバーシュタインでは、鉱石の加工も行われていました。博物館の建物の外壁には、当時、鉱山からとれた鉱石を研磨して加工する様子が描かれています。

宝石加工作業の様子

水車の回転力を引き入れて研磨用の砥石を回していました。研磨職人は、絵にあるように、その砥石に向かってイスの上にうつ伏せになり、原石を磨いていました。

鉱物鉱山

鉱物の原石は見たことがあるかもしれませんが、鉱物がどのように採掘されているのかはなかなか見ることが出来ません。しかし、イーダー・オーバーシュタインには、一般向けの見学用に、かつての鉱山が保存されています。

鉱山跡

ドイツ語の案内ガイド付きでしか入れないのですが、中に入ると岩のいたるところに鉱物が埋まっています。真っ暗なので写真ではわかりにくくなっていますが、赤で囲ったところに鉱物が見られます。

宝石採掘の後が残る見学現場

今では見学用に通路が広くなっていますが、かつての鉱山労働者は一人あたり、幅1メートル、高さ60センチほどの穴を1年に1メートルほどかけて掘っていたそうです。労働条件の厳しさから、これらの労働者たちは、35歳以上になることはほとんどありませんでした。

崖の教会

イーダー・オーバーシュタインの目玉は鉱山と並んで「崖の教会」です。崖の真ん中をくりぬいて教会が建てられています。

崖の教会

これを見て思い出すのは、鳥取にある投入堂です。こちらのほうは、完成した仏堂を法力で崖のくぼみに投げ入れたという伝説があるほど、建てるのが不可能な場所に仏堂があります。観光するのも一苦労でもあります。

崖の教会に似た、日本の投入堂

話しをドイツに戻すと、建てられた場所が場所だけにこの崖の教会にも伝説がつきまとっています。

この伝説にはいくつかのバージョンがあるのですが、どれも親戚間での殺し合いが土台となっています。どろどろの人間模様はいつの時代でも人を引き寄せるようです。

あるバージョンによると、二人の兄弟(A、B)が同じ女性に恋をし、Bが女性と結婚するということになりました。それを知ったAは、嫉妬と怒りのあまり、自分の兄弟であるBを、お城の窓から崖へと突き落とし殺害しました。

自分の罪の恐ろしさに気付いたAは、しばらく放心状態でさまよったりしました。しかし、Bの墜落現場であった崖の中腹を鑿と金槌だけで掘り出し、教会を建てたというお話です。*1

その教会に行くためには、崖の中をくりぬいて作ったトンネルを通る必要があります。

岩肌がリアルなトンネル

教会の中は普通の教会ですが、崖がそのまま壁として利用されており、むき出しになっています。

崖と一体となった教会の内装

崖のくぼみに作られていますが、崖と教会が一体になってもいます。

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