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元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

大学で近代日独軍事史を研究する伊藤智央のエッセイ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います。

ドイツ料理は本当においしいのか!?

ドイツ ドイツ-食べ物

さて、ドイツ料理はおいしいのか?

よく聞かれる質問ですが、「おいしくないし、フランス料理や中華、和食と違って世界的に広がっていないのは当然の結果」と私は答えます。*1ドイツ人は一般的に、イタリア人やフランス人よりも食費にかけるお金が少なくなっています。どちらかというと車や携帯電話にお金をかけています。加えて、ドイツ人は量の多い(肉)料理を好む傾向があり、質と量のどちらに価値を置くのかということに関しては、量の方に比較的重点が置かれています。*2

これだけ聞くと、ドイツ料理はおいしくないというイメージを持ちそうですが、しかし、ドイツ・メディアではドイツ料理が味覚の点で負けていることはなかなか認めたがりません。むしろ世界中でドイツ料理が愛されているのか、どれほどドイツ料理がおいしいのか、を見せる傾向にあります。

ドイツ料理のおいしさへの誇りは例えば、

・味覚
ドイツ料理は多様である。どの地域にもおいしい料理がある。[中略] 国際比較においても[ドイツ]料理は、トップクラスにあると言えよう*3

というような記述からもわかります。

ではなぜ私がドイツ料理をおいしくないと思うのかについて、事例を挙げながら説明していきたいと思います。

例外的においしい料理

もちろん一部ですが、おいしい料理もあります。ヴィーナーシュニツェル(子牛のカツレツ)とか白アスパラとか・・・

白アスパラは収穫時期が決まっていて5月から6月にかけてレストランやスーパーで買うことができます。もちろん輸入物になるとそれ以外の時期にも食べられますが、やはり国産のほうが新鮮で質がよいものが多いです。

ドイツの人気料理(白アスパラとシュニッツェル)

あと、ブレーツェルもおいしいです。朝ごはんにバターと一緒に食べるブレーツェルはパンとバターの甘味がまじりあい格別です。

ブレーツェル

しかし、代表的なドイツ料理でおいしいものとなるともう思いつきません・・・

豚一辺倒のつらさ

他にも、ある程度はいけるという料理もありますが、肉が多すぎたり、味が独特すぎたりといまいちと感じてしまいます。例えば、下の写真にあるようなアイスバインやシュバイネハクセ。豚を前面に押し出した料理です。

しかし、これらは豚肉の味が強すぎます。一生に数回食べるぐらいの頻度で食べる分にはおいしいかもしれませんが、個人的には1年に1回の頻度ですでに飽きが来ます。

アイスバイン
 
シュバイネハクセ
アイスバイン   シュバイネハクセ

他の国のものほうがおいしい食べ物

餃子に負けるマウルタッシェ

マウルタッシェという、生地の中にミンチ肉、玉ねぎ、ホウレンソウ、柔らかくしたパンを入れて茹でたり焼いたりするドイツ南西部の料理があります。しかしはっきり言って、同じようなジャンルの水餃子や焼き餃子のほうが数段おいしいです。

マウルタッシェ=ドイツの水餃子

 

肉の保存食品はやっぱりイタリア・スペイン

ハムも大体はイタリア・ハムのほうがおいしいと思ってしまいます。シュヴァルツバルト・ハムはイタリアのパルマ・ハムにも劣らないと言えますが、サラミになるとやはりイタリアやスペインの方に軍配を挙げざるを得ない。

黒い森のハム(独)
 
パルマ・ハム(伊)
ドイツのハム   シュバイネハクセ

ドイツのソーセージはいかに?

では、ドイツと言えばソーセージというほど強いイメージがありますが、ソーセージはどうなのか?しかし、これもまた抜群においしいとは思いません。確かにバイエルンの白ソーセージは好きですし、一般的なソーセージも悪くはありません。でも、抜群においしいというほどのものでもないというのが率直な感想です。

日本にいたドイツ人*に日本のシャウエッセンはどうかと聞いたところ、かなりおいしいと言っていました。個人的には唐辛子やニンニクの効いた、東欧のスパイシーなソーセージや、南欧のハーブソーセージのほうが好きかもしれません。

*あくまで数人に聞いた結果です

バイエルン名物白ソーセージ
 
ドイツのソーセージ
バイエルン名物白ソーセージ   ドイツの一般的なソーセージ

また、ソーセージを使ったファーストフードとして、カレーソーセージというものがあります。これは焼いたソーセージにケチャップベースのソース、カレー粉をまぶして食べます。スナック代わりになるので、ドイツでは人気がありますが、これがなぜおいしいのかわかりません。

はっきり言って、ソースの味が濃すぎて味を単純に感じてしまいます。辛辣ですが、お好み焼きと比較しても、ソースにそれほど工夫が見えないところがつらいところです。

カレーソーセージとケバブの二択ならば、間違いなくケバブを選んでしまいます。

カレーソーセージ(独)
 
ケバブ(土)
ドイツのストリートフード   トルコ人のケバブ

自画自賛するほどおいしくない

以上、ドイツ料理について私見を述べてみましたが、別にドイツ料理に恨みがあるわけでも、和食万歳という訳でもありません。ただ、ドイツ人が自画自賛するほどドイツ料理っておいしいのか?という疑問に答えたかったからです。

ですので、称賛するほどドイツ料理はおいしくないというだけで、おいしいドイツ料理もありますし、伝統料理以外でもおいしいものはドイツにもあります。ただ、ドイツ料理以外の選択肢があるのであれば、イタリアやフランス、スペイン料理の方を私は選択します。

*ここでのドイツ料理とは、ドイツの「伝統」料理のことを指しており、ドイツ人が料理する料理全般のことを指しているわけではありません。そう考えると、ケバブも「ドイツ」料理といってもいいのかもしれません
**味覚は個人差があるので、ドイツ料理が好きな人を否定しているわけではありません。以上は全くの私見として捉えてください

他にも以下のような記事も書いております。

関連する記事

*1:全く個人的な見解です。「自国の食べ物が一番だぜ」という「食のナショナリズム」(Speisenationalismus)の傾向は十分に意識した上で、なるべく公平になるように私の味覚で判断した結果です。以下、同様

*2:参照記事:Deutsche Küche: Wie gut ist sie wirklich | STERN.de

*3:引用先:Deutsche Küche: Wie gut ist sie wirklich | STERN.de "Geschmack Die deutsche Küche ist vielfältig. Jede Region bietet schmackhafte Gerichte an. [...] Im internationalen Vergleich liegt die Küche weit vorne." []は引用者による補足