元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

社会評論

欧米人が日本語を難しいと感じるのは何故か?日本語歴10年超のドイツ人に聞きました

外国人と一言にいっても、どのような文化的背景を元々持っているのかによって日本語学習の難易度は異なります。 例えば、漢字文化圏から来た人であれば、漢字はそれほど問題ではないでしょう。漢字の読み、特に訓読みはゼロから学ぶ必要がありますが、漢字の…

ドイツ人と日本人の決定的な違いとは?

日本ではいたるところで、ランキングや他人の評価を全面に押し出した広告を見ます。 「これが今一番売れています」というポップアップがドラッグストアの商品棚を派手に飾っていたり、食べログのランキング・評価がレストラン選びで重宝され、「全米○○○万人…

「神の国」日本と「人の国」ドイツ、住み易い国はどちらか?

日本とドイツ、どちらのほうが暮らしやすいのか、よく聞かれることがあります。 そのたびに答えに窮してしまいます。というのも、自分が大事にする価値が何なのかによって答えは変わってくるからです。

【卒業生が語る】東大に入って感じたメリットとデメリット

東大に入ることのメリット・デメリットとはいったい何でしょうか。東大に入れば一体具体的にどの点でその人にとって有利になり、あるいはどのような負の影響をその人に与えるのでしょうか。 卒業生として私が感じたり、周りから聞いたことを基に整理してみま…

ドイツ人とのコミュニケーションで感じる地理感覚の差

ドイツ在住の日本人がドイツ人から質問されて答えに窮するものがあります。 それは、 「東京と大阪ってどれくらい離れてるの?」 といった地理に関する質問です。 このような地理系の質問にはいろんなバリエーションがあり、 日本列島の長さに関する場合 皇…

入社式に見る、日本型ダイバーシティが行き詰まる理由

毎年4月には入社式で新入社員が抱負を宣言する姿が見られます。 会社に入るのに何故、宣誓というような儀礼を集団で行わなくてはならないのでしょうか?この儀式の中に、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」的な、思考を停止させた集団主義を感じてしまいま…

生活のクオリティとは「便利さ」か「美しさ」か―電柱の地中化について

なぜ日本の空は電柱や電線で覆われているのでしょうか。 このコンクリートの柱が子供のころから嫌いでした。醜いの一言。空を見上げても、空が電線で縛られているように見えました。最近、ドイツ人に言われた一言で、この子供の頃からの印象が甦ってきました…

見慣れないアフリカ系男性を警察に通報したのは人種差別なのか

ある日、ベランダから何気なしに道路を見ていると、この住宅街では見慣れないアフリカ系(サハラ以南をここでは指す)の男が二人歩いていました。 しばらく目的もなく眺めていると、その二人は駐車場にあった、高級感の漂うBMWに近づいていき、車の両側に分…

カタカナ語の「乱用」は何が問題なのか

何でもかんでも英語をカタカナにした用語を使うことを言葉の乱れとして嘆く人がいます。私も日本語で話すときは出来る限り、欧米語由来のカタカナ語を使わないようにしています。 ただ、日本語自体も多くの漢語を含んでおり、外来語として認識していないだけ…

【クールジャパン戦略再考】普通の50代ドイツ人女性が見た日本

知り合いのドイツ人(女性、50代)が初めて日本に旅行したので、彼女に日本のイメージや旅行での体験についてインタビューを行いました。彼女は別に日本語を勉強しているわけでも、日本に関する特別な知識もないため、同じ年齢層の一般的ドイツ人をある程度…

【実体験】ドイツ学生寮での、思い出すだけで怒りがこみ上げてくる不快な話

ドイツの学生寮にいたときに、学生が豚のように扱われているんだなということを身をもって体験しました。

NHK海外放送があまり見られていない理由と改善策

NHK World TVという海外向けのNHK放送があります。 英語でNHKが作成したニュースやドキュメンタリーなどが無料で放送されています。 ただ、この英語というのが問題点で、NHK海外向けの放送が誰をターゲットとして放送しているのかが不明瞭で、そもそもどれだ…

【卒業生による東大批判】「辺境」大学に適したグローバル戦略とは

東京大学が勘違いした戦略方針をとっています。 秋入学を導入して留学や社会経験を集めることを重視したり、大学ランキングを上げることを考えたり、はたまたハーバードやオクスブリッジに並ぶことを考えたり。最近では、推薦入試を導入し、高校卒業までの留…

国際結婚の離婚率が高い本当の理由とは?

海外との往来が増えた結果、最近は国際結婚も昔に比べて増えているようです。しかし、国籍が異なる場合の離婚率は約45%となっており、日本人同士の離婚率である約35%を統計上10ポイントも上回っています(2007年)。*1 このように離婚率が高止まりしている…

【海外報道との比較から】外来種に関する報道が秘める政治的問題性

日本ではニュースや一般向けドキュメンタリー番組で、植物や動物に関して、以下のような二項対立の報道のされかたを見ることがよくあります。 外来種=生存力が強く、侵略的、そのため駆逐するべき悪 Versus在来種=新しい環境に適応できず、外来種に駆逐さ…

ドイツ難民問題とローマ帝国の崩壊は比較可能?

現在ヨーロッパに多くの難民が押し寄せている状況はいくらかの人にとって、ゲルマン系諸民族の大移動とそれによる西ローマ帝国の崩壊を思い起こさせているようです。しかしそこでは、そもそも古代ローマ史とドイツの難民問題は比較可能なのかあまり検討され…

道路で遊ぶ難民の子供、公園で遊ぶドイツ人の子供

ドイツで難民問題が盛んにメディアを賑わせるようになって以来、家の前の道を難民と思われる若い男性や子供が歩いているのを見かけるようになりました。たまに難民の子供たちが前の道路*で自転車に乗ったりして遊んでいる光景もそれ以来見られるようになり…

ドイツ人の考えるケルン集団犯罪の原因とその問題点

*2016/2/16更新 大晦日でのケルンでの集団犯罪を受けて難民問題が大きく議論されていますが、この犯罪を受けて議論されている対策には大きな偏りがあり、いくつかの課題を含んでいます。扱いを誤まると、極右への支持が急速に広がる可能性も秘めています。 …

【まとめ】これを読めばドイツ難民問題がわかる!

ドイツでの難民流入は2015年以降、政治問題になるほど社会的影響が大きくなっています。 そのためドイツで暮らしていると否が応でも日々、難民に関する報道を耳にしたり、実際に難民の人を見かけたりします。そうした経験を踏まえて、本サイトではこの問題を…

【実体験】ドイツの例から考える地方再生に潜む重大な問題点

日本でも地方分権が長い間叫ばれ、東京一極集中が批判され、大阪副首都論が唱えられています。政治的なレベルでもそうですが、経済活動の分散も地方 再生という掛け声に含まれています。しかし、それが実現されたとき、普通の市民の生活はどのようになるのか…

ドイツ難民政策がブレている原因を探る

ドイツではケルンを中心とした、窃盗も兼ねた女性への性犯罪がドイツ政府のとる難民政策へ濃い影を落としています。しかしながら、ドイツでは難民政策を今後どのようにしていくべきかについて噛み合っていない議論がなされています。このように難民問題への…

手足の切断事故も?!ドイツの大晦日は花火戦争

ドイツ、というより日本以外の年越しは花火が飛び散る戦争の様相を呈しています。 日本とは違って全く宗教性を帯びないイベントなので、日本の静かで、落ち着いたにぎやかささえ感じさせる大晦日とは対照的です。 花火の音があちこちから鳴り響き、まるで空…

海外でアジア系すし料理店に日本人が打ち勝つには

ヨーロッパに住んでいると日本食レストラン、特に寿司レストランを見かけることがよくあります。 ただ、中に入ってみると寿司のネタは古くて、メニューも誤字があり、店員は中国人やベトナム人のみであることが多いです。ネタも、もう店の中を何回転してるの…

なぜ慰安婦問題の議論は噛み合わないのか

従軍慰安婦問題の解決について日本と韓国が合意しました。(2015/12/28) それについてすでに様々な意見が出ていますが、今まで出されてきた同論争の論点を整理することなく今回の合意について考えをまとめることはできないでしょう。 というのは、日本では慰…

ドイツ人が日本車を見下すのはなぜなのか

ドイツ人は日本車を蔑視することが多いです。 私が見聞した限り、ドイツ人が日本車を低く見るときの論理としては、日本車は内装が悪いし、馬力も少ない、だからドイツ車のほうが優れているというようなものが挙げられます。 日本車に限らず、ドイツ車以外に…

【実体験】中二病が抱いているドイツイメージが幻想にすぎない理由

日本にいると、ドイツに関して、一般的に「規律だって整然とした国民性」という良いイメージを持っている人も多いですが、はっきり言うとそれは幻想にしかすぎません。あくまで、他のヨーロッパの国と比較する限りで秩序だった性格というだけで、日本人から…

日本企業がブランド戦略に「色」を使わない理由

日本企業のブランド戦略の欠如が指摘されることが少なくありません。確かにブランドイメージの色による形成という点では、ドイツ企業がドイツで抱かれているイメージと比べると、日本企業の日本でのイメージは一部の例外を除いて立ち遅れている感が否めませ…

「湯冷め」はなぜ日本にしかないのか

「湯冷め」という概念はドイツ語にはありません。 私は日本でよく湯冷めをして風邪を引いていたので、ドイツでもシャワーのあとにすぐに寒くならないように努力しますが周りからは不思議な目で見られます。 では何故「湯冷め」という概念がドイツにないので…

東大法学部「首席」卒業という肩書に騙されてはいけない理由

東大法学部「首席」卒業という言葉をメディアでよく聞くことがあります。 例えば、テレビでの弁護士の(自己)紹介の際において「首席」が宣伝として使われてます。しかし私が卒業したときには、「首席」という言葉は聞いたことがありませんでした。 では、…

【体験談】ドイツで夫婦別姓をしている私が考えるその実態と問題点

ドイツでは1994年4月以降、夫婦別姓が認められています。私も夫婦別姓の道をとりました。日本でも夫婦別姓が議論されていますが、ドイツでの例を元に日本で別姓を導入した場合に起こりうる問題点を紹介したいと思います。