元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

ドイツ人に喜ばれるお土産、嫌われるお土産の共通点

外国人に日本からのお土産をあげようとするときに、どんな物を買ったらいいのでしょうか。この問題で悩む人もいるかと思います。

異文化の人に何か物をあげる場合、どんなもので喜ぶのかさっぱりわからないことも多々あります。ただ、当たり前のことですが外国人と一口に言っても、食べ物の嗜好やお土産への考え方が全く異なるので、一般的に「外国人に喜ばれるお土産」を特定することは不可能です。地域的・文化的に限定する必要があります。

ここではドイツ人の場合に限って、おススメとNGなお土産をまとめることで、それらの共通点をおぶり出してみます。

沖縄のお土産屋さん

その際には、相手が日本のことをどの程度知っているのかに応じて場合分けをすることが有効でしょう。

日本のことに興味がある人

お土産を渡す相手が日本への興味をもっている場合、その人に欲しいものを直接聞いてみるのが有効です。

例えば健康志向の人はお茶、アルコールをたしなむ人は日本酒やウイスキー、若い女性はキティといった具合に、ある程度具体的に欲しいものがあるはずです。

驚かせるよりも、相手に「こんなの欲しかった」と思ってもらえるお土産で喜んでもらったほうがいいでしょう。

一般の人へのお土産:NG品

基本的には食べ物をおすすめします。食べられない飾り物だと置き場所に困ったり、部屋のイメージと合わないから飾りたくないと思われることもありうるからです。

まずは嫌がられる可能性が高いものから挙げていきます。

あんこ入りのお菓子は単に甘いだけ?

ドイツ人にはあんこがダメな人が一定数います。*甘いだけで香りがない点が合わないようです。

*全くの経験知です

そのため以下のようなあんこ入りの食べ物は避けた方が無難でしょう。

  • 最中
  • ようかん
  • まんじゅう

小豆がダメなドイツ人は多い?

匂いが独特、かつ見た目がグロテスクなものはNG

海鮮系の魚臭いやつ(しかも見た目がグロテスク)は日本人が考えている以上に受けが悪いです。

ドイツ人は海鮮系の生き物はあまりそのままの姿で食べるという習慣がないので、見た目がグロテスクすぎます。ゲテモノ扱いです。

加えて、匂いがきつすぎます。豚の臭さにはある程度慣れている人がいても、海鮮系の匂いは多くのドイツ人にとって未知・嫌なものです。海鮮系の食品の消費量が少ない国なので。*

*というよりも日本の消費量が極端に多いだけかもしれませんが

そうしたNG品として、以下のようなものが挙げられます

  • 干しもの(するめイカ、干し魚)
  • 塩辛

海鮮系の食べ物にはドイツ人は慣れていない

小まとめ:嫌われるお土産の共通点

知らないだろうから紹介してあげようという心意気もわかりますが、もらった側としては逆効果の場合もあります。

知らないものは食べない人も結構いることに加えて、「食べたくないものはちょっとでも食べたくない」という強い意志を持った人も多いからです。基本、慣れが必要なものは嫌がられる可能性が高いと思っていいでしょう。

そうなった場合、せっかくのお土産は後でゴミ箱行きになります。

一般の人へのお土産:OK品

ドイツ人受けがするものとは、NG品とは反対です。

つまりドイツ人にとってもわかりやすいもの、ある程度知っているものが喜ばれます。こうしたものは、初見から取っ付きやすいと言えます。

クッキー、白い恋人

クッキー自体はドイツ人も知ってるので問題ありません。そのため、ドイツ人には違和感なく受け入れられます。周りの知人の間では「白い恋人」はおいしくて大好評です。

カステラ

和風でありながら、ドイツ人の口に合います。やはり元がヨーロッパのお菓子だからでしょうか。ちなみに東京バナナも、生地がふわふわしており人気があります。

和風でもドイツ人の口に合うカステラ

せんべい

米を固めて焼いたものなので、炭水化物の塊でしかありません。ですのでそれほど違和感なく受け入れられます。ドイツのスーパーやアジア系ショップでも類似のものが売られているので、存在を知っているドイツ人も少なくありません。

塩味がついていて味がわかりやすいという点も、せんべいが食べられる理由でしょう。

味がわかりやすいせんべい

せんべいの一種として「柿の種」もお土産としていいでしょう。とくにわさび味のお菓子はドイツでも(一部で?)人気の味で、アジア系ショップで類似のものが売られています。そのため、柿ピー・わさび味はおススメかもしれません。

お箸

最近は、お箸を使えるドイツ人もある程度増えてきています。東アジア系の料理に関心をもっている人が増えているのもその一因でしょう。

そのため、自分用箸はプレゼントとして喜ばれるのではないでしょうか。

箸はドイツでもよく知られている

小まとめ:受けの良いお土産の共通点

お土産は、奇妙キテレツなものを渡して相手の度肝を抜くことが目的ではありません。あくまでも、受け入れてもらえることが最初の、かつ最大の条件です。ある程度ヨーロッパのものをベースにしたものは、無難といっていいでしょう。

お土産だから知らないものをあげて、見識を広げてあげようと思うのは余計なおせっかいに近いのかもしれません。

まとめ:実際に使える・食べられる物をあげる

以上、あくまで個人的な経験とまわりのドイツ人に聞いた限りで、ドイツ人へお土産を渡す場合の注意点を書いてきました。

要約すると、大切なことは次の3点です。

  1. 最善のパターンは、相手に直接聞いて、相手が欲しいものを渡す
  2. 相手自身が何が欲しいのかわからない場合、相手がある程度知っている物の延長線上にあるようなものをプレゼントしてあげる
  3. 知らないから見識を広めてあげようというおせっかい心は裏目に出る可能性が高い

好みは人それぞれなので、この例に合わない場合もあるでしょう。上に挙げた例はあくまで一つの例であって、これを機械的に守れば失敗がないというわけではありません。あくまで一つの指針という位置づけで考えてみてください。

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