オーストリア・ウィーンで2週間ほどホームステイを体験したことがあります。その際、トラブルに近いことがありました。
役所同士のプログラムで文化交流をする機会があり、それに応募してホームステイすることができました。こうした経緯でホームステイしたため、ステイ先の選定は全く運任せで、決まった後で連絡をうけました。
代理店を使ったわけでもないため、その点は仕方ないとして、事前に知っている情報は、
- 私のホストファミリーは受け入れが初めて
- 家族構成
という、2点だけでした。一応、出発する何週間か前くらいにメールを送ったのですが、なしのつぶて・・・
不安のまま飛行機に乗り込みました。
このプログラムでは複数人が同時に行くので、1人というわけではありませんが、それぞれ違うホストファミリーが割り当てられていました。
他の人は、ホストファミリーからメールの返事があったのに、私だけ返事がなく、はっきり言って不安でたまりませんでした。ちなみに、初海外です。
他人の家に行って、お世話になるので、当日にいきなり会うよりもメールで事前にやり取りしていたほうがお互いにとっていいと思ったのですが・・・
初日からイライラされる
到着した当日は、特に問題もなく形式通りの挨拶を済ませて終わりました。確かに何かおかしいなと思うことはありましたが、気のせいだと思い聞かせました。これから2週間も滞在するので、信じたくなかったのかもしれません。
というのも、車で家に向かっていたのですが、お母さんと
というようなやり取りがありました。車も持っていなかったし、日本から外に出たことが無かった私(22歳)にとっては車がどちら側を走っているかは気にしたこともありませんでした。もちろん、よく考えればわかったことですが、とっさのやりとりでは思い浮かびませんでした。
人生で初めて英語を使って本格的に会話をしたということや、初体験の時差ぼけもあって、頭が回っていなかったのかもしれません。
しかし、続けて
とイライラした口調で言われました。初対面なのに何でこんな口調で話すんだろうと思いましたが、その時は、それほど気に留めませんでした。
しかし、次の日に起きた出来事で、この「イライラ対応」は偶然ではなかったことを確信しました。
お茶の淹れ方を間違うととんでもないことになる
次の日の朝、部屋を出て台所に行くと、お母さんに、
と言われました。別にお茶を飲みたかったわけでもなかったのですが、そう言われたら、
という気分になり(笑)、お茶を自分で淹れようとしたのですが、そもそもハーブティーの淹れ方なんかまったく知らない世間知らずな私。ティーパックをお湯に入れた経験しかありません。
目の前にあるのは、お茶の葉と、コーヒーメーカーのようなガラスの入れ物。

さてどうする・・・他人の家で勝手に何か間違ったことをしたくないし・・・
考えても仕方ないので、これは聞いた方が早いと思って、お父さんに聞きました。
すると、お父さんは、「これはこうするんだよ」といって、お茶袋から葉っぱを大量にこのガラス容器に入れました。
そして、お湯を沸かせて待っているとお母さんが台所に来て、
と、ものすごくびっくりした声で、というよりも怒った声で私に叫ぶではありませんか。
といっても全く耳を貸してもらえず、不機嫌さを丸出しにされて、こっちは気まずいも何もありません。
本当は、紙か何かの袋にお茶の葉を一旦入れて、それをお湯に入れるのが正解でした。
その後は、その不機嫌さを見せつけるかのように、ため息をつきながら、ガラスの容器を何度も台所に叩きつけていました。そしてお茶の葉っぱをガラスの容器に、「これでもか」というほど大量に入れていました。
他人の家でお世話になるという、始めから遠慮モードに入っていた私は、もう謝るしかありませんでした。
何度も言いますが、これが起きたのは、2日目の朝です。
1人で駅から帰れるかな?
びっくりしたというよりも、どうすればわからず当惑したこともありました。
冒頭に述べたように、文化交流事業の一環としてホームステイをしていたので、自分の時間もあったのですが、いろいろなプログラムが組まれていました。
区長や区議会議長の表見訪問といった堅苦しいこともあれば、馬車での観光やドナウ川下りといった、いたせりつくせりの観光プログラムもありました。
こういった場合、ホストファミリーとは別に行動することになります。駅までは車で送ってはくれたのですが、その時に
とお母さんに言われました。
初めての外国、知らない言葉。
どのバスに乗って、どの停留所で降りればいいのか、その停留所からどうやって家まで行けばいいのか、そもそもホストファミリーの住所すらわかりません。しかも車で送ってもらったから、土地勘はゼロです。
知らない国で10分くらい車で送ってもらった道をバスで帰るって無理でしょう。
ということを必死で訴えて、何とか車で迎えに来てくれるようにしてもらいましたが、見知らぬ土地で一人にされるという不安は相当なものでした。
「お客だから神様扱いしろ」と言いたいわけでは別にありませんが、地図渡すとか、バスの路線とか停留所名を紙に書いて渡すとか、もう少し、気を配ってくれてもよかったんじゃない?と今では思います。
掃除してたら、あんたのメアドが出てきた
ホームステイ後の話しになりますが、急にメールで連絡が来ました。
ということを聞いてきたのはいいのですが、その前にあった文章が「えっ?」と思わせるようなものでした。
メールの冒頭にあった文は
というものでした。
そんな経緯、わざわざメールで書く必要ある?
私のアドレスが書いてある紙がどこかに忘れ去られていて、埃まみれになっている様子を想像すると、どうもやるせない気持ちになりました。「自分の扱いってそんな程度なんだ」って思ってしまいました。
他人の家に行って、お世話になるって大変
日本人同士でも他人の家に何週間も泊まるとなると、お互いに気を使ったり、トラブルが起きたりしそうですが、これが全く知らない国の家となるともっと大変です。
その国に関する事前知識がないと、問題が起きても、文化の差に起因するのか、個人の性格に起因するのか全く区別がつきません。この問題はホスト側にとっても存在しますが、ホームステイをする方は、不慣れの環境にいきなり来て、ホストに依存しているため、精神的により大変なのかもしれません。
私の感覚としては、うまく行くことのほうが珍しいのかもしれないと思います。
ちなみに、この文化交流プログラムでは、オーストリアからも日本にホームステイに来るのですが、オーストリア人の1人が、日本での環境が悪かったからいい思い出はないと言っていました。日本のホストファミリーが、「彼の部屋が散らかっていて汚い」と悪口を言っているのを、言葉はわからなくても感じたそうでした。
第一印象というのは重要なので、こういう体験を聞くと非常に残念に思ってしまいます。