元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

「日本すごい」系番組、そろそろ止めませんか?

「日本スゴーイ!」

外国人にこうした発言をさせる番組がテレビ番組の一部として当たり前になってもう久しくなっています。

確かに、訪日外国人の個人ストーリーに密着してドラマ感を出したり、彼ら・彼女らでしか見えない視点で日本を紹介する方法は意義があるでしょう。

しかし、素人の外国人がお寺や伝統工芸を見て、ただ驚くシーンを見せるような番組には、娯楽番組であっても弊害あって一利もありません。

では、外国人が出て来て、「日本すごーい」を連呼させる番組の、どこが問題なのでしょうか?

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日本人があまり知らない宗教のメリットとは?

宗教と聞くと、「争い」といったネガティブな事柄を思い浮かべる人もいるかと思います。

信仰のために人を殺し合うこと*1も現に起こっています。また新興宗教のように、しつこく勧誘に来て、お布施を巻き上げる詐欺のイメージをもっている人もいるでしょう。

もちろんデメリットも存在しているのですが、宗教にはストレス社会をうまく生き残るための効用が存在しています。それはストレス軽減の効果です。

*ちなみに私は不可知論者なので、信仰心のかけらもありません。そのため当記事は宗教の勧誘では決してありません

*1:もしくは宗教に名の借りた戦争

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【キラキラネーム】ドイツ語っぽい名前を赤ちゃんに付けると恥をかく理由

ドイツ語の言葉の響きがかっこいいから、ドイツ語っぽい名前(以下、姓名の内、「名」の意)を子どもに付ける人がいます。

例えば

  • リヒト(Licht:光)→例:理人
  • ハルト(hart:堅い)→例:春人
  • アイネ(Eine:一つ)→例:愛音
  • マハト(Macht:力・権力)→例:真羽人

といった名前です。他の漢字で当てることもできます。

ここでは、ドイツ語の人名用の名前(ヨハネス、トーマス、ミヒャエルetc.)を当て字にした場合ではなく、響きがかっこいいという単純な理由から、ドイツ人ならありえないような名前を付ける場合を念頭においています。

こうしたキラキラネームはドイツ語の感覚を全く無視したものです。というのも、日本とドイツの名づけ文化には違いがあるからです。キラキラネームを付けることは、自分の無知ぶりをさらけ出していることと等しいのです。

では、なぜ(ドイツ人の名前ではなく)こうしたドイツ語っぽい名前がDQNネームでしかないのかについて、日本とドイツの名づけ文化を考察しながら説明していきたいと思います。

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【体験者が語る】事前に知っておきたい国際結婚の良い点、悪い点

さて、日本人同士の結婚と比べて、国際結婚をしていると日常生活においてどのような違いがあるのでしょうか?

多くの場合、国際結婚であろうと、「国際結婚」自体のメリットを目当てに結婚するのではなく、相手の個性に魅かれて2人の人間が結びつくことが大切です。ですので、相手との相性がよければ、国籍や文化はあまり気にしなくてもよいと考えます。

しかし国際結婚においては、たとえ国籍・滞在許可取得や、言語習得のスピードが上がるという実益的な面から結婚していなくとも、2人の文化的・言語的背景の違いから、メリットやデメリットが表れてきます。

ここで挙げるメリットやデメリットは、多かれ少なかれ、日本人同士のカップルにも見られることなのですが、国際結婚の場合、そうしたメリット・デメリットがより強烈な形で表れてきます。

そのため、ここでは私の体験を踏まえながら、国際結婚にオプショナルでついてくるメリット・デメリットを挙げていきます。

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日本の新卒一括採用システムが海外に比べて圧倒的に恵まれている理由

ドイツで「新卒」就職した私は、いつも日本の就職事情を羨ましく思っていました。

というのも、大学で勉強した科目にもよりもますが、文系学部*1だと、日本での就職が圧倒的に簡単だからです。

日本の就活生は自分がどれほど恵まれた環境にあるのか自覚していないかもしれませんが、私から見ると、かなり恵まれた環境にあります。「大学時代に2、3個会社を立ち上げたぜ」というような強者を除けば、だからこそ、この環境を生かして、自分のキャリアを積み上げていくことをおススメします。*2

まずは、日本の就活状況が恵まれている理由について、ドイツの就職事情と比べながら説明していきます。*3

*1:経済・経営学部を除く

*2:社会のシステムとして新卒一括採用がいいかどうかは別の問題です。あくまで就職する側から見たメリットを論じています

*3:ここではヨーロッパ大陸系の就職事情について述べています。英米型の新卒就職については文末参照

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