元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

【まとめ】ドイツ暮らしで感じるツッコみたくなるような日常話

海外在住の日本人なら一度は体験したようなことから、私がツッコミたいと思う典型的な海外での出来事まで、イラッと来るというようなエピソードをまとめてみました。ほとんどが普通のドイツ人が日本に対して抱くステレオタイプや誤解からくるものです。

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【一般化の作法】「日本人は○○だ」vs.「私は私」の妥協点はどこにあるのか

日本(人・文化)を一般化してしまう発言は、一見誰にでもできるように見えて、多くの問題が隠れています。というのも、安易になされる一般化発言に対しては、「いや、一人ひとりは個性をもった人間だから、個々人を見るべきだ」という反論がすぐに生まれてくるからです。*

*「日本」としていますが、これはどこの国や地域、または性別といったその他の属性でも構いません

しかしながら他方で、個々人を重視するあまり、一般化という行為自体を否定してしまう考えにも問題が存在します。

では一体どうすればよいのでしょうか?以下では、わかり易いように前者のスタンスを一般化思考、後者を個性主義的思考と名付けながら整理して考えてみることで、当たり前に思われていてもなかなか文章化されない大切な事柄について明らかにしていきます。

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海外在住日本人による「出羽の守」発言が心に響かない決定的な理由

「〇〇(国名)ではこうなってる。だから日本もXXすべき)」という人を「〇〇(国名)では」を多言するという意味で、「出羽の守」と呼びます。

こうした人は、リアルな世界でもSNS上でも見られます。しかし、とりわけ海外に住んでいる人の言動には、「〇〇(自分の住んでいる国)はXXだ。日本はXXじゃない。だから日本はだめなんだ」という上から目線のものも少なくありません。

ここでは、こうした「出羽守」発言がなぜ無意味なのかについてわかりやすく説明していきます。*1

*1:以下自戒をこめています。

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見慣れないアフリカ系男性を警察に通報したのは人種差別なのか

ある日、ベランダから何気なしに道路を見ていると、この住宅街では見慣れないアフリカ系(サハラ以南をここでは指す)の男が二人歩いていました。

しばらく目的もなく眺めていると、その二人は駐車場にあった、高級感の漂うBMWに近づいていき、車の両側に分かれて、あたかも車に乗り込むような様子を見せました。しかし彼らは、ドアを開けようともせず、なにやら中を物色しているような動きを見せました。しかも、人や車が傍を通りかかると、ドアに背を向けてやり過ごしていました。(下図参照)

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