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元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

大学で近代日独軍事史を研究する伊藤智央のエッセイ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います。

ドイツから見た日本の政治風刺文化の問題点

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ドイツの番組表には「Heute Show」という政治風刺のコメディ番組がのっています。やや左がかっていますが、基本的にすべての党派に対して批判的です。

日本では政治ネタをテレビでおもしろおかしく話すことはありますが、ドイツでは政治家の動向や発言を精査して、政策の矛盾を見せる映像や本質をついた映像を取り出して流しています。

日本のテレビでは考えられない光景です。

政治風刺

この番組、内容が政治批判というものですが、なんと公営放送のZDF(第二ドイツ放送)が放送しており、プライムタイムからはやや外れるものの、金曜の22時30分の放送というまだ高い視聴率が望める時間帯にです。

日本の政治「風刺」の問題性

日本では政党(特に与党)を少しでも茶化すと政党側から批判されたり、もしくはしばしば保守的党派に肩入れした形の政治バラエティ(保守的な「テレビタックル」)でしか政治風刺は見られません。

またバラエティ番組で政治を扱うとすると、政治家の物マネというように、ただ笑って終わりという内容が多い印象です。

もしNHKが与党を風刺する番組を放送したらどうなるか。政治的中立性という名のもとその政治的メッセージが徹底的に批判されるでしょう。

政治的発言をしないことで政治的中立性が守れるというのは幻想でしょう。批判しないということ自体が一つの意見表明なのですから。

このように見てくると、日本の政治「風刺」文化は表層的かつ偏っているように見えてきます。

政治風刺の意義

左右にバランスのとれた風刺文化は、政治と娯楽をつなぐもので、政治への関心を高めるためには有効です。

政治はまじめなものだという意見もあるとは思いますが、緻密な調査に基づいて丁寧に設計された風刺はまじめなものです。

政治家の物まねや人気投票、野党いじめに終始するのではなく、左右にバランスのとれた、本質を突く風刺は、幅広い層の政治関心を高めるという意味で、政治文化の裾野を広げることにつながります。

そのため政治的無関心が支配する現代の日本でも、質の高い政治風刺を含む政治的娯楽番組というジャンルが確立してほしいものです。

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