ドイツに留学したいと思っていても、ドイツには沢山の大学があります。ではどうやって大学を選べばよいでしょうか?
「大学ランキングで選べばいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、それは安易な考え方です。大学選びで失敗しないためには、そのような表面的な外部評価ではなく、もっと大切な基準があります。
ここでは学士~修士レベルを対象として、大学選びの基準を考えてみたいと思います。
確かにTimes誌のWorld University Rankingsというわかりやすいランキングがあり、日本では毎年、いくつの日本の大学がランキング入りしたかということでマスコミをにぎわしています。しかし、学士、修士、博士課程を通して計3つの大学を経験してきた私が言えることは、「一般的にいい大学」ということと、その大学が「自分にとっていい大学」ということは別のことだということです。
単に経歴に箔を付けるということではなく、本当に何かを学びたいのであれば、外からの評価で自分の進路を決めるというのではなく、自分の希望・想像に沿う大学を選びましょう。
では、ドイツの大学選びはどのようにしたらよいのでしょうか?ここでは、
- 入学できる大学を見つける
- 入学したい大学を見つける
という2つの観点から説明したいと思います。まずは「入学できる大学」を、次に、「入学したい大学」を見つけるという順序で考えてみたいと思います。
入学できる大学を見つける
まずは、自分の勉強したい学科が存在する大学を探しましょう。
教育プログラムを検索
探し方は簡単で、DAAD(Deutscher Akademischer Austauschdienst)のHPでキーワードを入れるだけで候補となる課程が出てきます。
入学制限の有無
そしていくつか候補が出てくれば次に、その学科への入学条件を確認する必要があります。
入学許可の条件には一般にいろいろなものがありますが、共通して言えることは、NC(Zulassungsbeschränkung:入学制限)があるかどうかです。NCは、それまでの高校や学士での成績の最低条件を意味しています。
この最低条件に達していなければ入学は許可されません。
こうした情報の一部は、上のDAADの検索サイトにも掲載されていますので、自分の今までの成績と照らし合わせて見ましょう。DAADのデータベースには載っていない場合は、各大学のHPをその都度、確認する必要があります。
成績以外のものとして入学の許可に必要なものは
- 古典語(ラテン語・ギリシャ語)の能力
- ドイツ語の能力
- 修士への入学であれば、同じ分野での学士号
といったものもあります。
経済的要因
授業料
留学といえばお金がかかるものですが、授業料は州別に異なります。というのも、教育の権限は州の管轄下にあるからです。そのため、州によっては授業料を徴収したり、また外国人向けに高額な授業料が設定されてたりしている大学もあります。
こうしたことに注意しておかないと、入学したはいいものの、親に予想以上に面倒をかけたり、バイトしないといけない状況になったりします。
授業料の詳細については、以下の記事で書いておりますのでご参照下さい。
奨学金
日本からも奨学金(ここでは返還不要のものを指す)を出している機関がありますが、ドイツでも奨学金を出している機関があります。
奨学金は、お金をもらえるだけでなく、奨学金を受給したという事実は、それだけ優秀ということの証でもあるので、自分の経歴を磨くためにも有利です。
こうした奨学金もDAADの以下のデータベースから検索できます。
入学したい大学を見つける
こうして、入学できそうな大学・学科をある程度絞りこむことが出来れば、次にすることは、どの大学に入学したいのかということです。
現実には複数の大学に入学許可を申請することになると思いますが、その場合でも、自分の中で優先順位をつけることが普通でしょう。そうなると、どうやって優先順位をつけるのかが問題となります。
個人的な相性
私が大切と考える、大学選定の基準はその街や大学との相性です。
大学のキャンパスが街の真ん中にあるのか、それとも郊外にあるのかで、大学生活は大きく変わりまし、活気のある街のほうがいいのか、落ち着いた街のほうがいいのかも個人によって違います。
当分の間その街で暮らし、その大学で多くの時間を過ごすため、留学する前にまずはその街や大学に実際に行ってみて、雰囲気を自分の肌で感じてみることをお勧めします。そのため、もしドイツを旅行する機会があれば、下見をしておいたほうがいいでしょう。
さらに、もし学生寮に入ることを希望しているのであれば、学生寮の場所も重要です。大学から離れた不便な場所にあることもあるからです。ネットで寮の場所を確認しておきましょう。
専門性
確認しておきたい次なることは、現地の教員の専門性です。
どのようなことが勉強したいのか留学前におよそでも決まっている人もいると思います。その場合は、同じような分野を専門としている教員がいるかどうかを確認しておくと、「勉強したかったテーマが出来ない」とがっかりすることを防げます。
もちろん、自分の専門を始めから狭くしたくないと考えている人にとっては、教員の専門性はあまり関係ないでしょう。学士や修士課程の段階では専門性を絞るのではなく、むしろ自分の興味外のテーマを研究している教員の下で授業を受けるほうが学びは多いと考えます。自分の専門性を極めていくのは博士課程からでも十分です。
地道に調べることの重要性
いかがでしたでしょうか?大学選びは人生の重要な決定にもかかわらず、大学ランキングという外部の評価に頼りがちです。しかし、そうした評価は日本人的な発想です。というのも、ドイツでは日本と違い、卒業した大学が名門大学かどうかは後のキャリアに影響を与えません。
こうした日独の違いについては以下をご参照下さい。
こうした日本的な発想にとらわれるのではなく、むしろ、自分は何を勉強したいのかということを明確にしながら、自分との相性や期待と合った大学を・学科を地道に探していくことで、あとで後悔したり、勉強についていけなくて中退するということを防ぐことができます。
是非とも、ここで紹介したような基準を参考にしてみて下さい。