仕事を依頼される場合には二つの理由が考えられます。
それは依頼主にとって出来ない仕事だから任されるという場合と、依頼主がしたくない面倒な仕事だからという場合です。
そして面倒だからやってもらう仕事の方が多く、この分野では競争も激しく、ひたすら労働時間が長くなります。自分の行っている作業がどのような作業なのかということを考えないと、誰でも出来る仕事からいつまでたっても抜け出せず、その結果、簡単に会社/顧客から切り捨てられることになります。
ではそうならないためにはどうしたらいいのでしょうか?
仕事のタイプ
まずは仕事のタイプを二つに分け、それぞれの特徴を見てみます。
「したくない」タイプの作業
「したくない」タイプの作業とは特別な専門スキルが求められない作業のことです。その結果、以下のような特徴が生まれてきます。
- 参入障壁が低い(誰でも出来る)
- 競合に対して自分の強みが発揮しにくい
- 顧客に価格や作業内容の面で主導権を握られる
結果、報酬単価も低く抑えられ、自由裁量の余地も少ないため面白みも薄いのではないでしょうか。
「出来ない」タイプの作業
「出来ない」タイプの作業の特徴とはその対極にあたります。
- 参入障壁が高い(仕事が出来る人が限られている)
- 競合に対して自分の強みを発揮しやすい
- 顧客との関係で価格や作業内容の主導権を握ることができる
専門知識や資格が求められる仕事のため、競合の数は限られます。また特別な専門スキルが求められることから、依頼主にとっても作業内容がブラックボックス化されて把握されにくく、自由裁量の余地も大きくなります。やりがいも出るというものです。
作業内容は誰でもできるわけではない性質のため、報酬単価が競争にされされることも少なくなります。作業内容がブラックボックス化されていることもあって、報酬を決める際に有利に立つことができます。
あくまで理念型としての分類
ただたいていの場合、ある作業がこの両者のどちらかにはっきりと分類されるというよりも、どちらの要素がより強いのかということが問題になるのではないでしょうか。
というのも、例えば参入障壁の高い弁護士といえども最近は競争も激化しており、また報酬単価も競合を念頭に置いて設定する必要があるようです。
また、単純なデータ入力作業であっても、超高速で入力できそれが顧客にとって必要不可欠なスキルであるとすれば、それはそれで他に出来る人がいないような強みと周りから認識され、「やりたくない」から「出来ない」タイプへと作業の性格がシフトしていきます。
やりたくない仕事から出来ない仕事へのシフトを図るためには
やりたくない仕事を請け負うことも一つの付加価値の出し方だと思います。ただ、競争も激しく報酬単価も低めになる傾向があるのではないでしょうか。
ですので私としては出来ることならば、報酬*単価の維持できる、人が出来ないタイプの仕事を増やしていくことを心がけています。
*金銭的なもの以外も含む
Step1: 人が出来ないこと、かつ付加価値の高いものを見極める
ではどうやって、このタイプの作業を増やしていくのか。
まずは、競合や顧客は何ができて何が出来ないのかという他者の能力を分析しましょう。結局、「出来ない」ということは他の人にとって「出来ない」「将来的にも出来そうにない」ということだからです。
そうして競合や顧客が簡単には得られないと見極めた能力のうち、自分が理想とする姿に一番あった能力、もしくは自分が他の人よりも得意としている能力を見つけ、それが(潜在的に)顧客にとって利便があると思われるかどうかをその都度検証していきます。
もし顧客にとって利便と考えられ、他者が出来ていない領域があればそれを強みとするように努力しましょう。これが理想のマーケットポジションになります。
Step2: 理想のマーケットポジションにたどり着くための方法
ではどうやって努力すればいいのか。
まずしなければならないことは、自分の作業の中で、どちらのタイプの作業が多いのかを冷静に観察することではないでしょうか。それによって、どのようにして自分は現状、付加価値を出しているのかがわかってきます。
人がやりたくないことを代わりにやって付加価値を出しているのか、人が出来ないことをやって付加価値を出しているのかどちらの要素の方が強いのかということです。それは同時に、目指している強みを現在持ち合わせているのかという確認作業でもあります。
現在の自分の能力に関する棚卸し作業を踏まえることで初めて、目指すマーケットポジションを得るために今の強みを伸ばすのか、それとも新しい強みを開発する必要があるのかということが見えてきます。
代替可能性の有無を意識することで技術革新を生き延びる
こうした作業はキャリア戦略の中心とも言えます。
そしてこうした意識は今後一層重要となるでしょう。というのも、科学技術も競合としてより強く現れてくるからです。
将来的には人間が担ってきた活動の大部分がIT化されたりロボットによって代替される可能性があります。そうしたときに、自分の仕事は不必要になるのではないかと不安を常に抱くことは、将来、不要な人材とみなされないようにするための大切なきっかけです。
電話を掛けるたびに、相手側に手動でつないでくれていたかつての電話交換手という職業が消えたように、今日の多くの仕事が消えるかもしれません。それも50年先ではなく、10、20年先という近い将来にです。
そうなったときに、果たして自分のやっていることが他者にとって代替不可能なものなのか、機械が出来る以上の付加価値を生み出すことができているのかを自問してみることは必要でしょう。