元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

欅坂46の歌詞を徹底分析。テキスト・マイニングを通して見えてくるものとは?

欅坂46は何を、どのように歌ってきたのかのでしょうか?

この問いに答えるため、歌詞をもとに

  • 欅坂46
  • AKB48、SKE48、HKT48、NMB48、乃木坂46

を比較分析した文章を、2018年9月18日発売の、欅坂オフィシャルブックである以下のムックに投稿いたしました。

寄稿した原稿では、KH Coderというフリーソフトを用いて、歌詞を品詞に分解し、その登場の仕方に定量的に分析しています。

ここでは本論考がもつ3つポイントを紹介したいと思います。

ポイント1:解釈の恣意性を出来る限り排除

歌詞の分析というと、歌詞の一部を引用することで、どうにかして整合性のあるメッセージを読み取ろうとする手法が一般的です。しかし、この方法では、どの箇所をつまみ食いしたのか、なぜそれをつまみ食いしたのかが明確ではなく、結果にいたる解釈過程がブラックボックスとなっています。

本論考のポイントは、歌詞全体を分析しているため、こうした恣意性を出来るだけ排除していることです。*1

ポイント2:ヴィジュアルで見せる分析

次のポイントは、ヴィジュアルを多用しているため文章がかなり読みやすくなっていることです。

分析というと、文字だらけで硬いイメージがあるかと思いますが、本論考では、多種多様なグラフを用いており、文章を読まなくても、グラフだけでも楽しめます。散布図、折れ線グラフ、横棒グラフ、縦棒グラフ、三角グラフ、樹形図といった具合です。(以下のグラフは文章の付録として載せているグラフとはデザインが一部異なります。)

欅坂の特色を示すグラフ群

ポイント3:多様な分析視点

最後のポイントは、分析の際にとった視点の多さです。

欅坂の歌詞を他の類似グループとの比較していく中で、歌詞の中に出てくる場所や時間ワードをもとに、

  • 場所:ストーリーの舞台はどのような場所なのか?
  • 時間:ストーリーはどのような時間軸上で展開されているのか?

といった問いに答えていっています。

欅坂を徹底的に知りたい人には必読

同雑誌には、第一弾である『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180703』とともに、専門家による欅坂論が載っています。

  • 時代背景(第一弾に掲載)
  • 制服・衣装(第一弾に掲載)
  • 定量分析(第二弾に掲載)←本論考
  • タイポグラフィ(第二弾に掲載)

といった具合です。どれも個性的です。

そのため、欅坂を総合的に理解したい方には、本論考も含めて是非とも、以下の特集号を読むことをおススメします。

欅坂に関しては以下にも記事を書いておりますので、ご覧ください。

関連記事

www.ito-tomohide.com

*1:もちろん解釈に恣意性はつきものですので、恣意性を完全に排除できているわけではありません。