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元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

大学で近代日独軍事史を研究する伊藤智央のエッセイ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います。

【検証】ご飯を牛乳で炊くとおいしいのか

ドイツ ドイツ-食べ物

新潟の三条市で給食がパンからご飯に切り替えたのを機に一時期、牛乳が給食から消えていたという話を2015年9月21日付けの日経ビジネスでいまさらながら読みました。

参照記事:「ごはんに牛乳は合わない」 新潟県三条市、給食から牛乳をカット

給食をめぐるこの騒動の背景には、牛乳と米は合わないという考えがあったようでした。しかし、この思い込みは日本人に独特で、他の文化では米と牛乳を混ぜる考えもあります。

そこで、米と牛乳は実は合うのではないかという事例を一つ挙げてみます。

ドイツの「牛乳ご飯」なる存在

ドイツでは牛乳ご飯(Milchreis)というデザートがあります。これは牛乳でご飯を炊いて、それに砂糖やシナモンを入れるというものです。

確かに最初それを聞くと日本人としては、若干気持ち悪く聞こえます。 私もそうでした。ただ試食してみるとまぁまぁいけます。今でもあまり好きではありませんが、まずくはないです。

牛乳ごはん

鍋で米を煮る

味覚研究の方法論的問題点

下の記事によると、同じ味覚のものの組み合わせについて、人間はおいしいと思わないようです。この記事が、この味覚に関する見解は「科学的な」結果だと主張しているにも関わらず、ドイツでこの「牛乳ご飯」が人気があるのはどう説明できるのでしょうか?

参照記事:給食の「牛乳」と「ご飯」は本当に合わない?味覚センサーで検証! | クックパッドニュース

もしかしたらこうした味覚の研究は、おいしいものに共通する特徴を探るという帰納的手法ゆえに、文化的な規定要因を説明できないのかもしれません。

調査の帰納的手法

①おいしいものの特長を探る
   ↓
②共通項を発見
   ↓
③それが「おいしい」ということの要因と結論付ける

文化的な前提条件を無視した調査手法?

しかし、この①のステップにおいて、文化によっておいしいと感じるものが違う可能性を考慮しているのでしょうか。

①で、特定の文化圏での「おいしさ」の特徴を集めているのであれば、それはその文化圏のみで通用する「おいしさ」であって、別の文化圏では通用しないはずです。

ですので、「科学的」と言うとき、客観的で、時代や地域を越えて通用するというような印象を与えてしまいます。

しかし、これはミスリーディングでしょう。演繹的な手法を使っているわけではないからです。

科学性と普遍性

帰納的な手法を使っているにも関わらず「科学的」というエチケットを貼ることは、牛乳と米との組み合わせが普遍的に良くないというイメージを間違って作り出してしまうのではないでしょうか。

牛乳とご飯の組み合わせに関する結論は、あくまでも特定の文化圏でのみ通用する話です。

「科学的」という言葉の背後にある本当の意味を精査しないといけないでしょう。

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