元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

【最新版】ドイツへの大学留学には費用がいくらかかるのか?安上がりのコツも紹介

留学する場合、勝手のわからない国に一定期間住むようになるため、いろいろな不安を感じることも多いでしょう。

そうした不安の原因は、

  • 語学力
  • 専門知識
  • 現地への適応力

など少なくありません。しかしそうした中でも、金銭的なものは多くの人にとって心配の種になるのではないでしょうか?

そこで、ドイツの大学に留学する場合、一体いくらぐらいの予算を見積もっておけばよいのか、ご紹介します。留学準備のご参考にしてください。

費用一覧

ドイツの大学に留学する場合、必要となる出費は大きく以下の通りになります。

  • 通常出費
    • 学費
    • 家賃
    • 食費
    • 健康保険費
  • 臨時出費
    • 飛行機代

学費

半年(一学期)に一度支払う必要のある学費*1には、以下の二つのものがあります。

  • 授業料
  • 共済費(Semesterbeitrag)

授業料

授業料の額は、州によって異なります。以下、州ごとに学費の有無及びその額をまとめておきます。

連邦州
学費(EUR)
バーデン・ビュルテンベルク 1500*
バイエルン 0
ベルリン 0
ブランデンブルク 0
ブレーメン 0(通常)/500(15学期目より)
ハンブルク 0
ヘッセン 0(通常)/500(修学年限超過の場合)
メクレンブルク・フォアポメルン 0
ニーダーザクセン 0
ノルトライン・ヴェストファーレン 1500*
ラインラント・プファルツ 0(通常)/650(修学年限超過の場合)
ザーラント 0
ザクセン 0(通常)/500以下(修学年限超過及び科目変更の場合)
ザクセン・アンハルト 0(通常)/500(修学年限超過の場合)
シュレスヴィヒ・ホルシュタイン 0
チューリンゲン 0(通常)/500(修学年限超過の場合)

引用:Studiengebühren in Deutschland: studieren.de(但し、*印の箇所は引用者による修正箇所)

以上からわかるように多くの州で、授業料がタダになっています。ただ、いくつかの州では、予定されている修学年限(BA:3年、MA:2年)を超えた場合に、授業料が発生する仕組みになっています。

*注意:州によってはEU域外からの学生に対して、半年(一学期)につき1500 EURの特別費を徴収しています。バーデン・ビュルテンベルク州では2017年冬学期より実施、ノルトライン・ヴェストファーレン州では導入が確実視されています。後者の場合、おそらく2018年冬学期から導入されるのではないかと思われます。

共済費

学費に対して、共済費はどの大学にいても徴収される費用で、その中には、事務管理費に加えて、州内でバス・電車が乗り放題のチケットも含まれます。このチケットは、大学に入学すると、学生証と一緒に発行されます。

この共済費は、大学によって異なるのですが、目安として、250~300 EUR(一学期)ぐらいを見込めばよく、毎学期ごとに上昇していく傾向にあります。

また学費と云う訳でありませんが、授業で使う本を買う必要もあるでしょう。学科によってそういった教材購入の頻度・額は異なってきますが、一学期につき2~3冊の本を買ったとして、50 EURほど見込んでおけばよいでしょう。

家賃

家賃は都市によっても大きく異なります。

学生寮は一般的に安くなっており、大体200~300 EURの家賃で入居できるようになっています。

寮に入れない場合は、自分で家を探すことになりますが、シェアハウス(Wohngemeinschaft:WG)の場合は、400 EURほど見積もっておきましょう。

参照記事:Mietspiegel: Das kostet ein WG-Zimmer - Studis Online

食費

ドイツは日本と比べると外食産業の競争が少なく、その結果、値段が高くおいしくないことが多いです。そのため、ほとんどの学生は自炊することになります。私も自炊をせざるを得ませんでした。

自炊がメインの生活をしたとして、昼は学食(3 EUR)で食事、朝ごはんと夕食は自炊することとすれば、一日の食費は10 EUR前後になります。

ちなみに、学食は日本の学食と違ってそこまでおいしいわけではありません。ドイツに来る以上はあまり食に期待しないほうがいいです。私が在籍していた大学の学食は、いろいろと賞をもらっていましたが、味はいまいちでした。

私の留学時代の食事について以下の記事で公開していますので、ご関心のある方はご覧下さい。

健康保険費

留学生は健康保険に加入しないと、大学入学手続きができません。もちろんそうでなくとも、保険には加入しておかないと病気の場合、困ることになります。

学生の間で一般的な健康保険としてAOKという保険会社がありますが、AOKの場合学生向けの健康保険は、月々80~90 EURとなっております。

参照記事:Wie hoch sind meine Beiträge zur Kranken- bzw. Pflegeversicherung? | AOK - Die Gesundheitskasse

飛行機代

当たり前ですが、行きと帰りの飛行機代も無視できない要素です。

直行便は移動時間が短く便利な反面、高く、どこかに一度経由する場合は、不便な反面安くなっております。

時期やルートにもよりますが、800 EURほどを見込んでおけば大丈夫でしょう。

特に長期の滞在の場合は、途中で何があるかわからず、何か緊急の用事で日本に帰らざるを得ないことも出てくるかもしれません。例えば近親者が病気になる場合などです。考えたくはありませんが、そのような可能性は考慮に入れておいたほうがいいでしょう。そのための費用としても、やはり一回分の飛行機代は予備として口座に入れておくことをおススメします。

収入?:留学生ができるバイトには制限がある

留学ビザで許されている就業時間は限られています。

年間で120日間の一日仕事(8時間)か、もしくは240日間の半日仕事(4時間)です。つまり、時給10 EURで働くと、年間 9600 EUR(10 EUR×8時間×120日)の収入になります。ただし、バイトをしていれば大学での勉強についていけず修学年限を大幅に超えてしまう恐れがあります。大学の勉強はバイトと平行してこなせるものではありません。勉強をなめてかかると絶対についていけなくなり、結局大学中退なんていうこともありえます。

そのため、バイトでの収入を始めからあてにして留学するのは、あまりお勧めしません。

参照記事:Deutsches Studentenwerk - Information for international Students: Jobben

最低でも年間約100~140万円必要

こうした費用(一年単位)を一覧にすると以下になります。

項目
金額(単位:EUR)
備考
授業料 0~3000 州によって異なる
共済費 500~600 大学によって異なる
教材費 100 学科によって異なる
家賃 2400~3600
4800
寮の場合
一般住居の場合
食費 3650 -
健康保険費 960~1080 -
飛行機代 800 一年に一度の帰国の場合
合計 8410~14030 日本円換算:約100万~約140万

このようにして見てみると、ドイツ留学は一年間で約100万円~140万円かかることになります。

但しこの額は最低のラインです。というのも、以上のもの以外にも、携帯の通信費や衣服費、光熱費、旅費といったこまごまとした出費があるからです。ですので、ぎりぎりの額を準備するのではなく、ある程度余裕を持っておいた方が安心です。「時間があるのにお金がないから旅行に行けない」といった状況は少なくなるでしょう。

留学費用を抑えるコツ

BA(学士)、MA(修士)課程を修了しようと考えている場合は、在学期間全体で上記の費用の2~3倍かかることになります。BAの場合、約300~420万円(=上記の費用の三年分)かかることになります。そのため、留学費用を抑えることが出来れば、留学へのハードルも下がるでしょう。そのカギは、上記の出費項目のうち、額の大きな項目にありそうです。

そうした出費項目は

  • 授業料(0~3000 EUR)
  • 食費(3650 EUR)
  • 家賃(2400~4800 EUR)

となります。

授業料は現在のところ2つの州でのみ導入済み/検討中となっているということを考えると、州をうまく選ぶことで学費は抑えられそうです。

食費は削り過ぎると健康にも悪影響を与えるので削れません。

ドイツ留学を一般的に安く済ませるには、家賃を抑える必要があります。そのためには、自分で家を借りるよりも寮に住めばよいでしょう。大学や都市によっては寮の部屋を得ることも難しいこともありますので、留学することが決まれば出来る限り早いタイミングで寮について調べ、手配を進めましょう

どれほどドイツ留学がお金のかかるものなのかを知っていれば、経済面である程度準備ができるのではないでしょうか。是非とも準備をしっかりして留学生活を成功させてください。

ドイツ留学に関して役立つ記事を他にも書いておりますので、ご参照下さい。

関連する記事

*1:「学費」という言葉は広義で使っています