中央ヨーロッパに住んでいると、西ヨーロッパの他の都市に観光に行っても、町並みが同じように見えてしまい、観光する目的も町並みというよりも特定の建物や食べ物となってしまいます。確かに細かい差異もあり、それが好きな人にとっては問題ないでしょうが、大きな違いがなく退屈にさえ見えてきます。
そこで、私が行ったことがあり、ドイツやフランス、イギリスとは異なる顔をもったヨーロッパの「周辺」地域にある、旅行にはおすすめの三つの都市・国を紹介します。
①アフロディーテの島、キプロス
常夏の島。小さい島なので、一週間あれば車で一周できます。
愛の神アフロディーテが初めて地上に姿を見せたビーチや水浴びをした伝説の場所が残っています。アフロディーテ神殿跡では、アフロディーテ信仰に使われていた巨石(隕石?)(下の写真)が展示されています。博物館の説明では、祭壇と思われる場所の近くに転がって埋まっていたようです。キリスト教浸透以降、巨石は急に忘れられたかのように放置されていたようです。それまでは神のように崇めてたのに・・・
訪れたときは数ヶ月来の雨ということでしたが、アフロディーテが初めて陸に上がったという伝説があるこの海岸は晴れの日にはきれいなはずです。基本雨がふることは一年間を通して稀です。
ギリシャ神話が好きな人にはうってつけの島です。
アフロディテとは関係ありませんが、ローマ時代の遺跡も多く残されています。背景の海との組み合わせが開放的です。
南北に分断された島
キプロス島ですが、朝鮮半島のように分断されており、キリスト教中心でギリシャ系の南部と、イスラム教中心のトルコ系の北部に分かれています。中間地帯は国連が非武装地帯として管理しています。
間違って車で非武装地帯に入ってしまい、国連軍(?)の基地の側を通り、UNのマークの入った軍用車とすれ違ったときは、生きた心地がしませんでした。地雷とかあったら、こうしてブログを書いていることもなかったでしょう。ポジティブに考えると、そういう体験もここでしか出来ません。(したくないかもしれませんが・・・)
首都ニコシアの真ん中で停戦ライン(?)が引かれているので、手続きを踏めば徒歩で(安全に)越境が可能です。ニコシア自体も南北で雰囲気がガラッと変わります。南のほうがどちらかというとヨーロッパという感じで、北はトルコです。徒歩で中立地帯を超えて越境というのも不思議な感じです。
そういった分断の歴史から、イスラム教とキリスト教の文化の混ざりあいを感じることができます。
写真(左)に写る地面は塩です。湖が干乾びあがった、塩分が結晶となっています。背景のモスク+フェニックスの木と相まって、いい景色を成しています。こうした風景もヨーロッパではなかなか珍しいでしょう。写真(右)はギリシャ正教会の教会です。
常夏という温暖な気候
文化的な面白さに加えて、常夏という点も魅力的です。
アフリカ・サハラ砂漠からの熱風がくるので、冬も比較的温暖です。さらに砂浜も至る所にあるので、海水浴もできます。暖かいので、冬にフラミンゴが越冬に来るそうです。私が訪れたときも生で野生のフラミンゴを見ることができました。
そのときは11月でしたが足を海に入れて海水浴を楽しめるぐらいの水温でした。
イギリスの直轄統治領という過去のために、英語が通じる
イギリスによる植民地時代という過去があるので、英語が出来る人が比較的多いです。上に述べたように非武装地帯に間違って入りかけた(すでに入ってた?)ときに、これ以上行ったらダメだと教えてくれた、養蜂家のおじいさんも、簡単でしたが英語が話せたのにはびっくりしました。
②異文化が重なり合うイスタンブール
ヨーロッパかと言われると微妙ですが、ボスポラス海峡の西側にもイスタンブールは広がっているので、ぎりぎりセーフとしてください。イスタンブールの魅力はローマと似ていますが、複数の文化が地層のように重なり合っているところです。むしろローマ以上に、異文化の出会いがあったことが感じられます。
ローマ帝国→ギリシャ語文化下の東ローマ帝国→オスマン帝国→近代トルコという変遷を考えれば納得できるでしょう。
下の写真のように、ボスポラス海峡に浮かぶ船で焼き魚が売っているのでその場で食べれます。人の多さや屋台的なところは、日本を思い出させます。
なんといってもイスラム圏
まず、イスラム圏ということでモスクがいたるところにあり、食べ物も羊がメイン。羊肉の匂いはなかなかきつくて、慣れる必要があります。私は結局慣れなかったので、鶏肉ばかり食べていましたが。食べ物に癖があるという体験も他のヨーロッパの都市ではしなかったので、面白いかと思います。
下の写真は、ヨーグルトに塩を入れたアイランという飲み物です。日本人の口にもなかなか合います。
歴史的建築物
イスタンブールはローマ帝国時代からの都市であるだけに、歴史的な由来のある建物や記念碑があり、歴史好きには感激の連続です。ローマにも劣りません。
東ローマ帝国を感じさせる遺跡から、オスマン帝国時代の別荘まであります。トプカピ宮殿の博物館は一見の価値有りです。聖遺物としてスルタンが集めていたのでしょうか、聖書時代のものも飾られていました。例えば、モーゼスの杖とされるものもありました。その真偽はここでは何も述べないことにします・・・
夜のハギアソフィアと青のモスクはマストでしょう。
③進取の気性に富むバルセロナ
奇抜な建築群
まず建物が全然違う、街の雰囲気がドイツ・フランスとは違う。
ガウディが設計した建物群はとても印象的です。サグラダ・ファミリアやグエル公園だけでなく、ほかの住居群、さらには町中にガウディ設計のものがあります。ドイツやフランスとは違った、開放的で実験的な気風に満ちている感じがします。
夕日の下での散歩が似合うシティビーチ
町にはビーチがあって、犬の散歩にも気軽に使えます。犬を自由に散歩させている人も多いです。
ただ飼い主が犬の糞の処理をきちんとしているのかが気になります。砂の中に糞を放っておかれていたらと思うと、下を気にせずに砂浜を歩くことはできません。
以上挙げた3つの観光地ですが、どの国の人たちも気さくで、親切でした。道で困っていると、すぐに話しかけて教えてくれます。(一度騙されましたが・・・)パリの人の冷たさとは正反対でした。
特にキプロスは一度ギリシャで乗り換えないと飛行機で行けないのが難点ですが、その分、穴場です。