大学に合格にして最初に決めないといけないのは、第二外国語です。
その際には、多くとも以下の7ヵ国語の中から選ぶことになります。
- フランス語
- ドイツ語
- 中国語
- 朝鮮・韓国語
- イタリア語
- スペイン語
- ロシア語
基本的には、どれを選ぼうが、大学の第二外国語教育を受けただけでは話せる程度にはなりませんが、英語以外の外国語に接触したという経験と、将来関心が出たときに基礎がある程度すでにあるという意味で役に立ちます。
第二外国語を学ぶ意義については以下の記事で詳細に書いておりますので、ご覧ください。
ここでは、どのような観点から第二外国語を選べばいいのか、そしてそれぞれの観点から捉えるとどの第二外国語がおススメなのかということについてアドバイスしてみます。
第1の原則:興味に従え
冒頭にも書きましたが、大学の第二外国語教育を受けた程度では使い物になりません。ですので、何らかの言語に興味があるのであれば、興味に従って選んだほうが学習自体を楽しめます。
加えて、言語の上達で一番重要なことはモチベーションです。そのため、もともと持っている興味を活かしましょう。それは、「かっこよさそう」、「旅行で行ってみたい」、「現地のサッカーが好き」といったことでもいいと思います。
しかし、もしどの外国語にも特別な思い入れがない場合には、次の第2の原則のように、「どれが一番役に立ちそうなのか」という基準で選ぶのがいいでしょう。
第2の原則:役立つか否かで選べ
「役に立つ」といっても何のために役立つのかを考えないといけません。
それは自分が将来何をしたいのかによって変わってきます。外国語学習の目的としては、以下の3つが考えられるのではないでしょうか。
- 旅行(文化交流)
- ビジネス
- 研究
旅行(文化交流):スペイン語がおススメ
旅行や文化交流を通して、普段は話せない人と話せるようになりたいという目的であれば、話者(母語者+第2言語として使用する者)の数と、公用語となっている国の数を基準に選択したほうがいいでしょう。
フランス語 | 1,3億(5位) | 40(1位) |
ドイツ語 | 2,2億(4位) | 8(3位) |
中国語(マンダリン) |
10,5億(1位) | 3(6位) |
朝鮮・韓国語 | 0,7億(6位) | 2(7位) |
イタリア語 | 0,6億(7位) | 5(5位) |
スペイン語 | 4,2億(2位) | 22(2位) |
ロシア語 | 2,5億(3位) | 6(4位) |
参照:Top 30 Language Spoken in the World by Number of Speakers
ここで挙げられている数字に関しては多少誤差があるかもしれませんが、参考値として考えています。
この2つの観点での順位を足して、総合的な順位を出すとすると以下のような順番になるのではないでしょうか。
1 | スペイン語 | 4 |
2 | フランス語 | 6 |
3 |
ドイツ語 | 7 |
3 | 中国語(マンダリン) | 7 |
3 | ロシア語 | 7 |
6 | イタリア語 | 12 |
7 | 朝鮮・韓国語 | 13 |
このように見ると、スペイン語とフランス語がトップを占めています。
この二つの言語の強みはやはり、ヨーロッパ以外の地域でも使えるということでしょう。スペイン語の場合は中南米でも使えますし、フランス語の場合はアフリカでも使えます。
ビジネス:中国語がおススメ
ビジネス目的で将来的に役に立つ言語を選びたい場合は、公用語となっている地域の経済規模を選択基準とすることができます。
経済規模順に並べると、7言語の有益性は以下のようになります。
1 | 中国語(マンダリン) |
11,158 (=10,866+292) |
中国(香港、マカオを除く)、シンガポールのみを考慮 |
2 | スペイン語 |
7,424 (=1,199+6,225) |
スペインと、ブラジルを除く中南米の国*1を考慮 |
3 | ドイツ語 |
3,729 (=3,355+374) |
ドイツ、オーストリアのみを考慮 |
4 | フランス語 |
2,452 (=2,421+31) |
フランス、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)加盟国*2のみを考慮 |
5 | イタリア語 | 1,814 | イタリアのみを考慮 |
6 | ロシア語 |
1,380 (=1,326+54) |
ロシア、ベラルーシのみを考慮 |
7 | 朝鮮・韓国語 | 1,377 | 韓国のみを考慮 |
参照データ:GDP (current US$) | Data
他にも、成長率や、日本との貿易額といった数値も基準として使えますが、ここでは経済規模だけに絞っています。1つの参考になるのではないでしょうか。
驚くような結果ではありませんが、ビジネスに関しては、やはり中国語が役に立つでしょう。
研究:フランス語・ドイツ語がおススメ
研究目的の場合、地域研究をするのであればその地域の言語を選ぶべきです。
しかし、特に研究の方向性が今の時点でわからない場合、過去に書かれた学術文献がどの言語で書かれたものが多いのかを基準にします。
学問分野によって差がありますが、一般的には
フランス語・ドイツ語 |
> | イタリア語 | > |
スペイン語・ロシア語 |
> | 中国語 | > | 朝鮮・韓国語 |
となるのではないでしょうか。
現代の学問分野の多くが19-20世紀の欧米圏で確立したことを考えれば、過去の文献を読み解いていく上で、ヨーロッパ系の言語が必要となります。
そのため、残念ながら非ヨーロッパ系言語の有益性はどうしても低くなってしまいます。
第3の原則:オールマイティ型を選べ
第2の原則で述べたように、第2外国語選択の際には勉強する目的を考える必要がありますが、「何のために勉強するのか皆目わからないが、必須科目なので選択しないといけない」という場合、第2の原則「役に立つか否かで選べ」で使った3つの観点でバランスの取れている言語をオススメします。
つまり、将来的にどのような目的が新たに生まれてもオールマイティに使えるような言語を選択するのがよいでしょう。
フランス語、ドイツ語、スペイン語がオールマイティ
そのため、第2の原則「役に立つか否かで選べ」で使った3つの観点におけるランキングを基に、総合順位をつけてみました。
1 | フランス語 | 1位 | 4位 | 1位 |
1 | ドイツ語 | 3位 | 3位 | 1位 |
1 | スペイン語 | 1位 | 2位 | 4位 |
4 | 中国語(マンダリン) | 3位 | 1位 | 6位 |
5 | ロシア語 | 3位 | 6位 | 4位 |
6 | イタリア語 | 6位 | 5位 | 3位 |
7 | 朝鮮・韓国語 | 7位 | 7位 | 7位 |
このように見ると、フランス語、ドイツ語、スペイン語が、旅行、ビジネス、研究の分野を通してバランスよく使える言語といえます。
外国語学習という体験自体の大切さ
ここまで、第二外国語をどのように選べばいいのかわからないという人のために、参考となる基準を挙げてきました。
基本的には興味関心に沿って選択する(第1原則)のがベストですが、言語に関して特にこれと言った興味がない場合は、目的に従って選択(第2原則)しましょう。
しかしそれでも、目的に優先順位を付けられない場合、将来にまんべんなく使える言語を選択すること(第3原則)をおススメします。
ただ、どの言語を選択しようとも、大学の授業だけでは使えるレベルまで到達することはありませんので、気軽に選択してもいいのかもしれません。「どの言語を勉強するのか」ということよりも、「英語とは別の外国語を勉強した」という体験自体のほうが重要だからです。
せっかく勉強するのですから、是非とも外国語学習を楽しんでください。
関連する記事
*1:アメリカ南北大陸のGDP合計より、アメリカ合衆国、カナダ、ブラジルのGDPを引いた値62,250億ドル(2014年)を使用(Measuring GDP in North and South America at World Economics)
*2:総生産額280億ユーロ=310億ドル(2005年)として計算(Der Überblick - Zeitschrift für ökumenische Begegnung und Internationale Zusammenarbeit | Heftartikel)