ドイツ、というより日本以外の年越しは花火が飛び散る戦争の様相を呈しています。
日本とは違って全く宗教性を帯びないイベントなので、日本の静かで、落ち着いたにぎやかささえ感じさせる大晦日とは対照的です。
花火の音があちこちから鳴り響き、まるで空爆のようでもあります。指や足の切断を伴うような重傷者も出るようです。
しかし、手足の切断事故が起きるほどの花火というのはどういうことなのでしょうか。
例えば2015年末のドイツ・ヴィースバーデン(人口10万の中規模都市)のカジノの花火を見てみます。
空爆とも見まがう花火の量
大晦日の前後の十数分間にどれぐらいの花火が打ち上がるのか
最近のドイツの花火のトレンドは電池付の本格派花火です。一度火をつけるとあとは自動で300発ほど連続で打ち上げてくれます。
こうした本格的な花火装置の値段は大体6000円ほどです。
どれほどの花火が年の変わり目の十数分の間に打ち上げられるかは以下の花火市場規模を見ればわかります。
出典:Handelsdaten.de
http://www.handelsdaten.de/deutschsprachiger-einzelhandel/silvester-umsatz-mit-feuerwerk-deutschland-zeitreihe
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つまり約1,3億ユーロの花火が正月用に購入されています。
先ほどの本格派花火300発付(8000円)だと、これが323万個売れたことになります。
一個の花火に300発の花火がついていることから、9億6900万回の花火になります。
ドイツ人8000万人のうち、外に出て花火を打ち上げる人が三割、年の代わり目の十数分間に打ち上げが行われるのが四割とすると、ヴィースバーデン中心に集まる人数(1万人)を考慮するとヴィースバーデンでは
969mil.(発)*0,4*10000(人)/80mil.(人)=48450(発)in Wiesbaden。
ヴィースバーデン中心部の面積は1,53km2なので、0,316発/1平方Mとなります。
1メートル四方の面積から0,3発ほどが十数分間に発射されることになります。
結構な密度だと思います。
下の写真で少しでも現場の迫力が伝われば幸いです。
花火戦争の経過@ヴィ―スバーデン
00:00 市庁舎前広場にて
00:15 カジノ前にて
00:25ごろ 祭りの後
戦争の悲惨な結果(全ドイツ)
花火の直接の被害ではないにしてもベルリンでは死者が2名出ています。花火の結果としては、子供が複数の指を切断した事故や女性が足を切断した事故があります。
切断ということですから、現場は凄惨だったと想像できます。
2016/1/1時点での大晦日の事故一覧
事故のタイプ | 場所 | 死者 | 負傷者 | その他 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
電車事故 | ベルリン | 2 | - | - | 泥酔のため地下鉄に轢かれる |
火傷 | ベルリン | - | 50 | - | 内3人は顔に火傷、7人は手の重症、12歳児は複数の指を切断 |
火傷 | ノルトラインヴェストファーレン州 | - | 15 | - | 花火の発射事故。内女性1人は片足を切断 |
火傷 | ハンブルク | - | - | 90 | 外から打ち込まれた花火による火災で老人ホームより避難 |
出典:Bilanz der Silvesternacht: Tausende Einsätze für Polizei und Feuerwehr - Unglücke - FAZ
なかなか趣向が日本とは変わっているので、ヨーロッパでの年越しは気を付けてください。