元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

【ラテン語格言】後悔しない人生を送るための1つの心構え

人生に関する格言はたくさんありますが、私が理想とする座右の銘を紹介します。

それは「Carpe diem(カルペ・ディエム)」というラテン語の格言です。直訳すると、「その日を摘め」、つまり「その日を充実させよ」ということです。

カルペ・ディエム

もともとホラティウス(紀元前一世紀の詩人)の表現ですが、現代のドイツ語圏では彼が意図した意味とは違った意味で使われています。

私が理想としている状態は、現代での用法で意図されている内容です。つまり、「明日のために何かするのではなく、今、この時を楽しめ」という意味での「Carpe diem」です。*

*ホラティウスの意図とは違った解釈であることは承知の上で、敢えて現代的な用法のほうを選んでいます

現在を犠牲にしても安寧は訪れることはない?!

今までの自分の人生を振り返ると、未来のために現在を犠牲にしてきたと思われる節が多々あります。それは多くの人にも言えることではないでしょうか。

例えば、

  • 受験勉強のために時間を削って今頑張れば、大学に入ってから楽しめる。それまでの辛抱だ
  • スポーツの練習はつらいけど、いつか試合に勝てるようになるまでの我慢だ
  • 会社の仕事、今大変だけどもう少し辛抱すれば仕事が楽になるから、あと少しだけ我慢しよう
  • 年金生活まであと~年だからもう少しこの会社で頑張ろう
  • 子育てをあとxx年だけ頑張れば、子どもが独り立ちして自分の時間が持てるからそこまで頑張ろう

ということは誰しも考えたことがあるのではないでしょうか。

しかし、つらいことを耐えてようやく目標にたどり着いたとしても、期待していたほどの幸福感が来ないことは多々あります。それはたとえ目標にたどり着いても新しい問題や目標が生まれてきて、「もう少しだけ辛抱すれば・・・」という状態が再度生じるからです。

結局、現在を犠牲にしてまで追い求めている「安らかな未来」は、いつまでたっても来ることはありません

そんな人生楽しいのでしょうか?たとえどんなに高い社会的地位を手に入れようとも、楽しくない人生よりも、死ぬ間際に「楽しかった」と一言いえる人生を送りたいと私は考えています*1

「今を充実させる」とはどういうことなのか?

しかし、「今を楽しむ」ことは簡単ではありません。どうしても明日のために無理して頑張ってしまいます。

そんなときにこの「Carpe diem」という格言を自分に言い聞かせています。

ただ「今を楽しめ」といっても、明日への責任を放棄して遊ぶのではなく、現在行っている作業自体を楽しむということを考えています。

仕事を楽しむ方法

例えば仕事という具体的な状況に即して説明してみます。

その①

一つの方法は、その作業が楽しくないものであれば、それを自分の好きな/やりがいを感じる作業へと変えてしまうということです。

嫌な仕事の中にもやりがいを見つけるためには、自分の作業内容を冷静に観察し、面白そうな点を見つけてそれが作業の中心になるように工夫することが挙げられます。

その②

二つ目の方法は、楽しくない作業をしないようにもっていくことです。

具体的には、うまく事前の準備をすることで、自分の意図する方向へと周り(クライアントや上司)を誘導することで振られる作業内容に対して影響を及ぼしたり、そもそもその作業から逃げてしまうこと(例:転職)です。

人生楽しめていますか?

「Carpe diem」の効用

「Carpe diem」は、何のために生きているのか、人生という限られた時間をどうやって楽しむのかを考えるきっかけを与えてくれる名言です。

そのため、この人生訓を必要に応じて思い出すことで、「本当に今という時間や人生を楽しめているのか?」と自問することができます。

処世術によって成功することでうまく人の世を生きるのではなく、楽しく生きることの大切さを教えてくれる格言です。

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*1:人生どう過ごそうが人それぞれなので、これは私の雑感です