元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

ドイツで就職・転職するための具体的な3つの方法

*2018/04/02更新

ドイツは日本よりも一人当たりの年収が高い(日本 約34.000EUR vs. ドイツ 約40.000EUR*1)一方で、ワークライフバランスが圧倒的に優れています。というのも、ドイツでは(最低でも)24日分の有給休暇が認められていますし、企業によっては30日分の有給がもらえます。こうした有給は完全消化が普通で、まとめて3週間とることも可能です。加えて、一日の労働時間も短く、定時になれば帰る人がほとんどです。

そのため、ドイツで働くことを夢見ている人もいるでしょう。しかし、実際にどうすれば就職・転職できるのかわからない人も多いのではないでしょうか。

そのため、私の経験に基づいて、ドイツで求職するための具体的な方法を紹介したいと思います。*2

また、記事末には、ドイツでの就職・転職の際に参考になるような以下の情報も併せて紹介しておりますので、ご覧ください。

  • メール・アドレスに注意を
  • 就職・転職において有利な条件
  • 一覧:業界別年収
  • 一覧:職種別年収

海外でどうやって仕事を見つければいいのか

就職・転職する三つの方法

ドイツで就職・転職したい場合、以下の三つの方法があります。

  1. 求職サイトに登録
  2. ヘッドハンターに依頼
  3. 各企業へ直接応募

求職サイトへの登録やヘッドハンターの利用は確かに楽なので、まずは一通り登録してしまいたいところです。その後に時間があれば、よさそうな企業のHPを見て直接応募しましょう。

求職サイトに登録

まずは履歴書を作ります。ドイツの履歴書の作成の仕方は他のサイトにもあるのでこちらを参考にしてください。

次に作成した履歴書をもとにサイトに登録します。

サイトによっては履歴書をアップロードすれば自動的に項目に入力されるものもあれば、自分で手打ちが必要な場合もあります。

日本関連団体の紹介サービス

日独産業協会

求人サイトで最初に検討したほうがいいのは日独産業協会(DJW)です。 80EUR(1万円強)程の年会費(+初年度は登録料10EUR)を払い込むことが必要ですが、日本に特化しているのと採用担当も頻繁にチェックしていのでおすすめです。

DJW

ここでまずはどんなものがあるのか見て下さい。知り合いのドイツ人の中でも、この日独産業協会を通して仕事を得た人を何人か知っていますし、この協会を利用している日系企業の人事担当の人も知っています。

デュッセルドルフ日本商工会議所

次に有益なのデュッセルドルフ日本商工会議所です。

こちらでは求職情報を2か月に一度、商工会議所の会員企業に配布している会報とHPに掲載してもらえます。無料です。会報への掲載は、年に3度までなので、タイミングをよく考えてから依頼しましょう。

ドイツの商工会議所

ドイツ向け一般就職サイト

こちらはドイツ語の知識が必要になりますが、フォームに記入するだけなので、辞書とにらめっこをしながらでも登録ができます。

一般的な求職サイトを挙げておきます。

stepstone
Monster
現地サイト1 現地サイト2
Indeed
Absolventa*3
現地サイト3 現地サイト4

良く見てみると、どのサイトも検索窓に入れる単語の種類は同じで、上の写真(クリックすると拡大)の①の箇所に、職種のキーワードを、②の箇所に希望している都市・地域を打ち込みます。

その際の検索に使えるようなドイツ語の例を紹介しておきます。

  • Japanisch(日本語)
  • Sprachlehrer(外国語教師)
  • Ingenieur(エンジニア・技術者)
  • Informatiker(IT技術者)
  • Chemiker(化学者)
  • Verkäufer(営業)
  • Koch(料理人)
  • Kellner(ホール係)
  • Automobilindustrie(自動車産業)

ヘッドハンターに依頼

直接ヘッドハンターに連絡して、ヘッドハンターに探してもらうこともできます。

その場合は、履歴書を送って、希望する給料や職種、業界を知らせておけば、合いそうな仕事を探してくれます。

日本に特化したヘッドハンター

一番のおススメは、Career Managementです。

Career Managementはかなり親身になって(日本語で)対応してくれます。ですので、まずはこちらに連絡を取ってみることをおススメします。

ヘッドハンター1

Fischerも登録しておけば、こまめに連絡が来ます。求人情報も(思い出したように)送ってもらえるのでおすすめです。日本デスクもあり、担当者は日本人もしくは日本のことに通じたドイツ人ですので、安心できます。

ヘッドハンター2

逆に登録しても意味がないのがJapan Managementです。

おススメしないヘッドハンター

Japan Managementは本当に放置されます。初回登録時も含めて、一回も連絡が来たことがありません。登録はただなので、登録はしておいてもいいのではとは思いますが、期待しないほうがよいでしょう。

グローバルなヘッドハンター

他にも、日本にも支店を持つようなヘッドハンターの会社にもあたれます。 大きなヘッドハンター会社はグローバル企業なので。 サイトはドイツ語でも、英語で対応してくれるヘッドハンターもいます。

個人的な経験ですが、マイケルページ@ドイツではいくつか企業を紹介してもらいました。

在独マイケルページ

右上の箇所から、職歴情報を登録していきます。すると、向こうの方からコンタクトしてきます。

ただヘッドハンターはどこでもそうですが、担当者の能力によるところが大なので、担当してくれるヘッドハンターが信頼できなさそうであれば、強く言って交代してもらったほうがいいのかもしれません。ヘッドハンターに与える心象よりも、自分の仕事探しのほうが重要ですので、遠慮してはいけません。

*その他

日本人コミュニティのニュースレターや掲示板を利用することもできますが、 こちらの求人はほとんどがバイトのような内容ばかりなので、お勧めできません。

各企業へ直接応募

直接企業を調べて、HPから求人情報を見つけることもできます。これは時間が最もかかる方法です。

そのうち、自分に合っている企業・ポジションを選んで、

  • カバーレター
  • 履歴書

を送ります。

カバーレターでは、自分はどのような技能があり、なぜその会社はあなたを採用すべきかを書きます。 これがなかなか難しいです。 同じ業界かつ同じ職種での経験がないと、どうやって、別の業界・職種で自分の経験が活かせるかということをある意味正当化しないといけません。

ドイツでは同じ業界かつ同じ職種での転職が普通です。*4

カバーレターと同じように履歴書の記載も、企業によってその都度、微修正を掛けます。 大学での専攻科目から(インターンも含めて)今までの職歴を見ると、応募先企業に応募したのは必然である、というようなストーリーを見せることが重要です。

こうした書類の書き方については以下の別記事で詳しく説明しています。

また、HPで空きポジションが無い場合であっても「自発的応募」(Initiativbewerbung)といって、自分で企業へ売り込むこともできます。空きのポジションがまだ公募されていない段階であったりすると他の候補者に先駆けて面接に呼んでもらったり、また、今は空きがなくとも空きが出来次第、優先的にコンタクトを取ってくれる可能性があります。

企業への直接応募は王道でありながら、一番大変な道です。

ドイツで就職・転職活動する際の注意点

メール・アドレスに注意を

応募書類をメールで送る際、アドレスとともに名前が表示されるのを知っていますか?

たとえば「山田太郎 <y.taro@gmail.com>」のように表示されることがあります。この「山田太郎」という表記ですが、ドイツ人からするとわけのわからない文字のように見えたり、場合によっては文字化けしたりするためにスパム扱いされてしまうこともあります。

大切な応募書類をメールで送った後に待てども待てども返事が来ない場合、こうした技術的な問題から人事担当者に全く読まれていない可能性があります。

そのため、メールの設定をいじることで、アドレス表示を「Taro YAMADA <y.taro@gmail.com>」のように漢字表記からローマ字表記に変えておくことが大切です。

ローマ字表記になっているか不安な場合、実際にメールを別のアドレスに送ってみると、受け手の側でどのように表示される設定になっているのかがわかります。

就職・転職において有利な条件

有利な職種

一般的にドイツではシステムエンジニアリングといったIT関連や機械エンジニアリングといった工学系の技能をもっているほうが就職はしやすいです。

技術的な職種であれば日本人であろうとドイツ人であろうとアウトプットのうち、言葉に依存している部分が相対的に低いため、日本人にもドイツ人との競争に打ち勝って就職するチャンスは残されています。

こうした職種は一般的に給与も高く、ドイツで必要とされている分野です。

一方で、マネジメントやセールス系はソフトスキルが要求されることが多く文化的な背景知識が重要視されます。 そのためには言語知識を含む高いコミュニケーション能力が必要です。ドイツ語を母語としない人にとっては、ハードルが高いかもしれません。

就業経験の重要さ

また就職・転職の際には就業経験が決定的に重要です。大学卒業したてであろうと、基本は即戦力として期待されるので、やはり就業経験の浅い新卒よりも、2・3年以上の就業経験をもつ人材のほうが職にありつきやすいでしょう。

新卒の場合、1年程度のインターン経験がない限り就職は難しいといえます。*5

そのため、いつの日かドイツで就職したいと考えていたとしても、就業経験がなくても比較的簡単に就職ができる日本でまずは就職し、何年か経験を積んでからドイツに打って出ることをおススメします。

一覧:業界別年収

では、自分の希望する業界ではどれぐらいの年収が期待できるのでしょうか。もちろんこれは、

  • 経験
  • ポジション
  • 企業の大きさ

によって異なってきますが、目安として、大卒の初年度年収(2017年)を挙げておきます。*6参考にしてください。(以下、平均年収の額は百の位を四捨五入)

業界別ベスト10

業界 平均年収(EUR)
化学・石油 52.000
銀行 52.000
自動車 51.000
電気機器、精密機械、光学機器 49.000
製薬 49.000
金属 48.000
航空 48.000
工作・施設機械 47.000
保険 47.000
コンサルティング、監査、法 46.000

業界別ワースト10

業界 平均年収(EUR)
観光、文化、スポーツ 32.000
教育 34.000
広告 34.000
メディア(映画、ラジオ、テレビ、出版) 37.000
医療、ソーシャルワーク 39.000
卸し、小売り 40.000
公務員、産業団体 40.000
食品 40.000
建築 41.000
不動産 41.000

一覧:職種別年収

年収は、希望する業界だけではなく、大学で何を専攻したのか、つまり業種によっても異なってきます。こちらも目安として、大卒の初年度年収(2017年)を挙げておきます。*7参考にしてください。

卒業学部 平均年収(EUR)
医学・歯科 50.000
経済工学 48.000
自然科学(生物学、化学、薬学、物理)自動車 48.000
工学 47.000
法学 46.000
数学、情報学 46.000
経済情報学 45.000
経営・経済学 42.000
心理学 41.000
教育 34.000
デザイン 33.000
哲学、人文学 33.000
歴史学、文化 33.000

就職・転職は怖がらないでまずは挑戦あるのみ

現在企業に勤められている方は、なかなかドイツに来て就職活動は難しいので、サイトに登録したりして少しずつ自分のチャンスをまずは探ってみてはどうですか

もしチャンスがありそうであれば、思い切って一週間ほどドイツに来て面接をうけることも可能です。実際に移住するかは、オファーが出てから考えればいいでしょう。学生であればビザに関しては、ワーホリで一年間来てその間に仕事を見つけるといった方法が考えられます。

一般的にドイツのほうが有給休暇の消化を含む労働時間の点で、かなりホワイトです。物価も東京より低いので、長い人生の中で冒険してみてもいいのではないでしょうか。

上記に上げたことは、他の海外での就職にも通用することもあるでしょう。

海外(含ドイツ)関連の記事

*1:2016年のデータ。典拠:Durchschnittliches Einkommen weltweit(最終アクセス日:2018/04/01)

*2:最初に断っておきたいことは、ドイツ語圏であっても英語だけで就職できるポジションも多いということです。中には、日本語だけで仕事がもらえる場合もあります。もちろんドイツ語や英語ができればそれに越したことはありませんが、外国語が苦手であってもまだ希望を捨てる必要はありません。

*3:新卒もしくは職業経験が2-3年ほどの人向け

*4:新卒であってもインターン経験との整合性が要求されます。

*5:大学での専攻分野にもよります

*6:典拠:Deutschlands 100 | Einstiegsgehalt nach Branche

*7:典拠:Einstiegsgehälter mit Bachelor- und Masterabschluss