ドイツで英語は通じるのでしょうか?
ヨーロッパならどこでも英語が通じるようなイメージを持っている日本人も少なくありませんが、英語はドイツの公用語ではありません。
確かに英語が通じる場合もあるのですが、通じない場合も少なくありません。どのような場合に英語が通じ、どのような場合に通じないのでしょうか?
必要最低限な会話は英語で可能
観光客として、観光地を中心に移動する限り、お店やホテルでは英語が通じます。
外国人が多いので、お店側としても英語ができないと売り上げにもつながってきます。それに、お店で何か買ったり、ホテルのチェックインする場合にしても、その状況から、話す内容は決まってきますので、店員の側にとっても英語対応はそれほど問題ないのでしょう。
移動するにしても、中央駅付近の表記や、電車の電光掲示板は英語でも表記されていますので、安心です。
そして、ドイツ人は全体的に日本人よりも英語が出来ます。
というのも、ドイツ人はEF English Proficiency Indexという測定方法での国際比較によると、世界で6番目に英語ができる国だからです。それに比べ日本は37位となっております。*1つまり、日本人よりもドイツ人のほうがはるかに英語ができるということです。
出典: EF English Proficiency Index Report(最終アクセス日:2018/04/02)
上の地図でわかりやすく描かれていますが、ドイツは上から二番目のカテゴリ(濃い緑)、日本は上から四番目のカテゴリ(黄色)に属しています。
つまり、ドイツでは英語で観光する上で支障はありません。
ドイツ語が話せないことの問題
しかし、いくら英語が出来るとはいえ英語は公用語ではありません。その意味するところは、生きていく上での最低限以上のことをしたければ、英語だけでは難しいということです。
というのも、英語が公用語ではないということは、国によって程度の差はあれ、英語で生活できる(公的)保証がそもそもないということだからです。それは政府が国民に発表する情報も含め公用文書が英語で書かれていないということでもあります。
つまり、ドイツ語と英語の情報を比較すると、英語での情報はドイツ語に比べて、
- 発信される機会が少ない
- 機会があっても情報自体、簡素化されている場合もある
ということです。
つまり、英語を話すドイツ人の場合で考えてみると、そもそも
でしょう。
そのため、とりわけ以下のような場合には、現地語ができないと不便を感じるかもしれません。
隠れた観光地を訪れたい時
当たりまえですが、典型的な観光地を離れると、英語が通じる確率が格段に減ります。そこ以外では、外国人の観光客が少なくなるので、お店側も英語で話す必要がないことからもそれは理解できるでしょう。
どのガイドブックにも載っているような定番以外の「ドイツ」を見たい場合は、レンタカーであろうと、電車であろうと、バスであろうと、不便を感じるでしょう。
ドイツ語と英語では、ネットであれ、街の中であれ、存在している情報に圧倒的な差があります。
イレギュラーなことが起きた場合
また、電車の遅延が起きてダイヤが大幅に乱れるというように、イレギュラーなことが起きた場合、ドイツ語がわからないとお手上げになることもあります。
特に電車は、頻繁に遅延します。たまに、止まる駅が変更することもあります。ちなみに、電車の遅延がある一定程度に達すると、乗り換える予定であった次の電車は待ってくれません。その場合、別のルートで違うタイプの電車を使うこともあります。
そうした場合、ドイツ語ができるほうが情報がより多く入りやすくなります。
それは、ドイツ語の車内アナウンスのほうが詳細であったり、周りの人の会話からより多くの情報を知ることができるということです。英語しかわからなければ、電車は止まってるのに、「果てしてこの電車は自分の目的地までちゃんと着くのか、それとも途中で乗り換えが必要になったのか」がわかりにくいこともあります。
ただ、積極的に周りの人に話しかければ英語でも教えてくれるでしょう。
ドイツのインフラについては以下の記事でも書いておりますのでご参照下さい。
現地のことを肌感覚として知りたい場合
英語しか話せないと、観光地の標識や音声ガイド以上の情報を得ることはできません。つまり、現地の人と話し込んだり、ドイツ社会に直接触れることは少なくなります。
お店やホテルでの会話は、「○○を買いたい」、「○○はどこにあるのか」、「チェックインしたい」といった形式ばったことばかりで、スモールトークに発展することは難しいと言えます。
確かに一部のドイツ人は英語も流暢ですが、そのような人たちは
- 数が少ない
- 彼らの考えは母集団を正確には反映していない
ことも多々あります。
外国のことに興味があって、見知らぬアジア系観光客にも親切にいろいろと話してくれるドイツ人は、すでにその時点でドイツ人の平均から離れた存在です。
いつまでたってもお客さん扱い
ドイツ語が全く分からない外国人はあくまで「お客さん」扱いです。
良い面だけ見てできるだけお金だけを落としてもらって、いい気持ちのまま帰ってもらうというのが観光ビジネスです。
つまり、英語しかできない観光客としてドイツで見て取れることは、あくまで、お膳立てされたものが中心です。他の大勢の観光客が見たいものを自分も見て、他の観光客が何万回も繰り返している形式的なやりとりをお店やホテルのドイツ人と交わして帰っていきます。
*ちなみにこのことは、ドイツ語の知識が不十分なまま現地に滞在している留学生や現地在住者の場合にも当てはまります
1~2週間で浅草と京都を見て回る外国人観光客が、それだけでどれほど日本のことを理解できるのかを考えてみれば、このことは理解できるでしょう。
では観光客としてどうしたらいいのか?ある国に観光に行く度に、その国の言語を完璧にマスターすることは不可能です。
2つの応急策
旅行だけのために完璧に語学をマスターするのは、実際無理です。しかし、少なくとも以下のことはできるでしょう。
英語しかできないというデメリットは取り除けませんが、ドイツ人に対して、誠実な態度を示すことはできます。
その対策とは、つまり
ことです。
具体的には
- 最低限のドイツ語を練習して使えるようにしておく
- 英語の中にドイツ語の単語を混ぜる
ことになります。
最低限のドイツ語表現は私が厳選して、記事の最後に挙げておきましたので、ご覧ください。
ドイツ語は間違って発音してもいいと思います。間違うことを恐れて英語に逃げるよりも、間違ってもドイツ語を使った方がドイツ人にとって親近感が沸きます。
日本人にとって、外国人が頑張って片言の日本語を話したほうが、親近感が沸くのを考えると理解できるでしょう。
日本語を話す外国人に親近感を抱く日本人
例えば日本では、モデルのミランダ・カーに日本語を話させたCMもありました。
他にも、トミーリー・ジョーンズに宇宙人の役をさせたり、ジャン・レノにドラえもんのコスプレもさせています。日本語を実際には話していなくても、話しているように描かれているのを見ると、英語一辺倒で押し通すよりも親近感が沸きます。少なくとも「親近感が沸くように」という意図のもとに日本語を話させています。
トミーリー・ジョーンズ
ジャン・レノ
最低限暗記しておきたいドイツ語表現
ということで、ドイツに行く前に知っておきたいドイツ語表現を挙げておきました。たった6つまで表現を厳選したので、暗記するのはそれほど難しくはないでしょう。
Guten Morgen. | グーテン・モルゲン | おはよう |
Guten Tag |
グーテン・ターク |
こんにちは |
Guten Abend | グーテン・アーベント | こんばんは |
Danke schön | ダンケ・シェーン | ありがとう |
Auf Wiedersehen | アウフ・ヴィーダーゼーエン | さようなら |
Entschuldigung | エントシュルディグング | すみません |
あとはドイツ語の単語帳やアプリを何かを用意しておいて、話しかける前にその単語だけ覚えておくことです。そうすれば、英語の文の中に、その単語を挿入することができます。
単語自体は大体通じればいいので、例えば、Google翻訳アプリを入れておけば十分でしょう。
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