元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

仕事上の夢を現実に変えるための具体的なテクニック

仕事上で夢を持っている人は多いと思います。夢といってもいろいろなものがありますが、組織の中で出世したり、就職や転職で自分のしたかった仕事を得たり、自営業であれば特別な案件を獲得したり、ということがあるでしょう。

しかし、夢とは、その言葉の通り、なかなか実現が難しいものです。

そこでここでは、どのようなことをすれば実際にこの夢をかなえられるのかについて、1つのアプローチを説明したいと思います。その際には、希望ポストやマーケットポジション、希望案件の獲得を念頭に話していきます。

夢を掴むための具体的方法

現状分析に必要な3つの視点

実際に明日から何をすればよいのかを決める必要がありますが、そのためには、まずは現状分析が必要です。その際に、以下の3つの視点*1を使うことで、現状がクリアに見えてきます。

  • 評価者
  • 競合
  • 自分

ステップ①:評価者の求める条件を探る

まずは、どのような条件が揃えば夢をかなえることができるのでしょうか?

例えばあるポストを得たい場合、どのようなスキルが求められているのかを知る必要があります。そのためには、以下の方法が考えられます。

  • 実際にそのポストに就いている人(ロールモデル)を観察する
  • 明示されている条件を読み込む

ロールモデルとなる人を観察する場合、実際の振る舞いや言動を観察することもできますが、その人の経歴を読み込んで、どのような要素が、そのポストを得るために決定的であったのか推測することもできます。

そうして、必要な条件を紙に箇条書き程度で落とし込めるまで理解しましょう。

ステップ②:競合が持っているものを探る

しかし、実際に求められる条件はあくまで1つの目安にすぎません。

というのも、それらの条件を満たさずとも、その夢を実現することが出来ますし、条件を満たしたとしても、夢を実現できないこともあります。

この条件は絶対的なものではなく、この条件に関して、競合(同僚や同業者)よりも自分が優れているかどうかが重要だからです。つまり、相対的に競合よりも優れていればよいわけです。

そのため、競合を調べつくすということも欠かせません。自分のライバルになりそうな人について、その経歴や振る舞い、手に入れられる情報をすべて分析しましょう。

ステップ③:自分と競合との位置関係を認識する

そうして得られた競合の情報とは別に、評価者が求める条件に関して

  • 過去の情報:どのような過去の体験を自分は提示できるのか
  • 現在の情報:今現在、自分は何ができるのか

ということを紙に落とすことが出来るレベルまで意識することが必要です。

それが出来て初めて、自分は競合と比べて、

  • どの点で優れているのか?
  • どの点で劣っているのか?

について考えることができます。つまり、競合と比べてが自分が夢のポジションにどれほど近い(または遠い)のかがわかるはずです。

具体的な行動プランの定め方

全ての点で競合より優位であることがわかれば、何もする必要がありません。しかし、そのようなケースは稀でしょう。そのため、この現状分析を踏まえて具体的な行動プランを立てる必要があります。つまり、

  • 優れている点をさらに伸ばすのか
  • 劣っている点を補うのか

という選択を行うことになります。

競合に対して圧倒的な優位に立つためには、基本的にこの2つのことを同時に進めていくのが良いのですが、それは、なかなか難しいことです。

ではどのように優先順位をつけていけばよいのか?

まずは、ステップ①で認識した、必要とされる条件について、

  • 軸①:自分と競合との位置関係
  • 軸②:自分がしたいという思うことか否か

という2軸に沿ってプロットしていくことで、優先順位の付け方のカギが見えてきます。(下の図参照。具体的なスキル内容についてはあくまで例)

必要とされるスキルを数え上げた概念図

対応すべき領域①:圧倒的に不利な領域

ある領域において、以下のような場合、この条件はノックアウト条件になることがあります:

  • 競合に比べて不利であり
  • その差が圧倒的に開いてしまっている

そのため、したくないことであろうとも、この不利な状況は改善する必要があるでしょう。

つまり、下の図の赤い領域にあるスキルは優先順位が高く、せめて図の矢印の通りになるよう、差を少しでも縮める努力しましょう。

不利になっている領域

この例でいうと、英語についてライバルと比べて圧倒的にできないという状況は、せめて、他の領域で挽回できるほどの状況までもっていくということです。

対応すべき領域②:自分がしたいこと

夢を実現することは自己目的ではなく、夢は自分が幸せになるための手段でしかありません。

そのため、自分は「どうありたいのか」、「何をしたいのか」ということが重要です。嫌々ながらやっても楽しくありません。こうした観点から、伸ばしていくポイントを決めることができます。

つまり、「自分がしたい」という領域(下図の青の領域)は優先的に伸ばしていきましょう。

自分がしたい領域

優先順位の付け方

こうした2つの評価基準を基に「すべきこと」を選んでいくと、下の図のように優先順位を付けることができます。

優先順位の付け方の概念図

つまり

  1. 右下の領域
    • 両方の観点で重要
    • 優先度:高
  2. 右上と左下の領域
    • 1つの観点で重要
    • 優先度:中
  3. 左上の領域
    • どの観点でも重要でない
    • 優先度:低(手つかずのままにしておいてよい)

このようにして優先度を決定した結果、

したいことを、最大限に!

しなければならないことが、必要最小限度に!

となるように自分のキャリアを形成していくことができるのではないでしょうか。

これによって、自分の状況を整理して、今後どのように自己研鑽を積めば仕事上の夢をかなえられるのかについて1つの行動指針が出来たと思います。

本記事であげたような概念図を実際に紙で描く必要はありませんが、頭の中でイメージできるようにしておけばよいでしょう。

他にもキャリア形成に役立つような記事も書いておりますので、併せてご覧下さい。

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