人はよく他の人と比較してしまいがちです。特に、同じような境遇や分野でうまくいっている人を見ると焦ってしまいます。
少なくとも私は、こうした気持ちを抱いてしまうことがあります。
しかし、こんな負の気持ちは全く生産的ではありません。出来れば克服した方が、人生を楽しく生きられると私は常に思っています。ではどうすれば克服できるのでしょうか?
競争心は諸刃の剣
人と比較するのは競争心から
人と比較してしまう人は、競争心が強い人でしょう。
他人と自分を比較するのは、ただ参考のためにだけではなく、競争していると感じているからです。
他人との関係を競争関係として捉えることで得られるものは、「上」の人を見て「やばい、負けてる」という焦り/劣等感か、「下」の人を見て「自分はそんなに悪くない」と安心/優越感でしかありません。
競争心は利害両方を備えている
ポジティブな効果
ただ、この負けず嫌いの精神は、人を成長させる可能性をもっています。競争心は、ライバルを常に意識することでモティベーションを上げたり、工夫を促したりするからです。
特にそうした効果は、まだ結果が出ておらず自分が頭一つ飛び出る可能性が存在する場合に現れてきます。
ネガティブな効果
しかし、一方で、生産的な活動に何ら結び付かない効果もあります。
それは、冒頭で述べたように、ライバルとの差が確定してしまっている場合です。つまり、もうすでに結果が出てしまい、何ヶ月、何年単位では追いつけなくなるときです。
例えば、相手が自分よりも先に出世してしまい、人事考課が年に1回しかない場合がそれにあたります。そうなると、いくら頑張っても次の1年の間、その差は埋めることができません。
そんなときに、嫉妬や焦りのような気持ちから悩んでいても、それは無駄な時間です。そんなことをうじうじ考える暇があれば、本を読むなり、人生を楽しむなりしたほうがましです。
ではどうすれば、このような負の感情を克服して、生産的な活動への時間を確保できるのでしょうか。
負の感情を克服する方法
競争心を捨てられれば、一番簡単なのですが、これは性格の問題なので変えることがなかなか難しいでしょう。
加えて、競争心にはパフォーマンスを上げる効果も存在しているため、競争心を捨ててしまうことがいいこととは限りません。
そのため、この競争心とどのように折り合っていけばいいのかを考えていきます。
人と違う土俵で戦えばよい
相手が自分よりも成功している事実は、たった1つの評価軸で「敗北」したということを意味しているにすぎません。
全ての面において「負けた」わけではありません。
もし別の面で強みがあり、その面で相手よりも優れていると考えているのであれば、それを活かす方法を探りましょう。もしそのような強みがないのであれば、強みを新たに作りましょう。
このように、視点を変えることで別の面での強みを意識すれば、1つの土俵では相手に「負けている」かもしれませんが、別の土俵では「優っている」という状況を作り出すことができます。
例:スタートが遅れた元サラリーマン刑事の強みとは
サラリーマンを経て30歳過ぎで刑事になった人*1の例を基に、「違う土俵で戦う」とはどのようなことなのかを説明していきます。
彼(以下、A刑事とします)は、刑事として就職したのが30歳過ぎであったために、同年齢の刑事と比べると刑事経験が少なく刑事としては半人前でした。「刑事」という1つの土俵ではライバルに「負けており」、この差を取り戻すのは容易なことではありません。
しかし、A刑事はサラリーマンとして営業を担当していたという経験を持っているために、会社員絡みの犯罪で、普通の刑事が気付かないような点に気付き、事件解決に導くことができました。
それは、ある事件関係者について調べていくうちに、「たった1回の営業訪問で契約をとってくるほど優秀な営業マンだった」という事実が浮かび上がって来たときでした。
普通の刑事は、それを聞いても「おかしい」とは思いません。しかし、営業マンとしての経験をもつA刑事は、「初回の営業訪問の目的は、相手への挨拶」という営業マン常識を知っているために、初回訪問で契約を獲得しているということには何か裏取引があるに違いないと気づきます。*2
他の刑事とは違う、元サラリーマンという経歴(差異)を強みに変えた好例でしょう。
差異と強みの関係や、強みの作り方については以下の記事でも論じていますので、ご参照下さい。
評価軸は1つではない
1つの点で「負けた」のであれば、別の点で巻き返しを図りましょう。巻き返すことができるような領域は無限に広がっています。
自分の能力をたった1つの評価軸に絞って捉えていてはもったいないです。
他の人が持っていない経験を活かそうと意識するようになれば、それを活かす道筋が見えてくることがあります。もしそのような経験や能力がなければ、それらを今からでも身につけましょう。
評価軸を複数もつことで、無駄な焦りを感じることなく人生やキャリアを捉えることができるのではないでしょうか。