元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

ドイツの大学で歴史を研究する伊藤智央のブログ。ドイツと日本に関する批判的な評論を中心に海外生活(留学や移住)の実態をお伝えしています。その際には元戦略コンサルタントとしての経験も踏まえてわかり易くお伝えできればと思います

初めての方へ-伊藤智央の自己紹介

当ブログの初めての方、読者の方、こんにちは。いつもご覧いただきありがとうございます。

ここでは、改めまして私および当ブログのスタンスについて紹介します。

私(伊藤智央)について

私の経歴は変化に満ちたものです。

学士、修士、博士で異なる大学で過ごし、それぞれで専攻も異なり、さらに修士と博士の間は戦略コンサルタントとして働きました。下の経歴はたった四行ですが、一直線なものではないことがわかります。

  • 東京大学法学部卒業(法学士)
  • ジーゲン大学大学院卒業(歴史学修士)
  • 某米系コンサルティングファームで勤務
  • ボン大学大学院卒業(学術博士、専攻:東アジア史)
  • ボン大学教員

こうした経歴から、様々な経験を積むことが出来ました。そうした経歴を書き下すと次のようになります。

これまでの歩み

東大法学部時代

学部時代は、法学部でありながら法律が好きになれず、政治を専攻しました。そして政治学の中でもなんとなくドイツに興味を持ち始め、大学の第三外国語がフランス語だったのですが、ドイツ語を独学で勉強していました。

東大自体は好きになれず、特に法学部は忌避していました。法学や政治学のような抽象的な議論(当時の感覚)ではなく、もっと地に足のついた歴史学に興味が移っていったからです。法学部の授業は必要最小限に限り、後は自分の好きなドイツ史関連の本を読んだり、西洋史の授業を他学部聴講という形で受けていました。

東大時代とは私にとって自分探しの時間だったのかもしれません。大学の授業で学んだことは多くはありませんでしたが、大学で知り合えた人間を通して学ぶことは多くありました。

そうして、法学部の学問に興味をもてないまま、無事卒業しました。

学部時代のことについては以下の記事で触れています。

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東大全体での卒業式の後に開かれた法学部主宰の卒業式

法学部の卒業式

ドイツでの修士課程時代

そして、ドイツに渡り、ドイツの田舎町にて、ドイツ史で修士号(成績:Sehr Gut / 優)を取得しました。奨学金も運よくとることが出来、金銭的には困ることはなかったのですが、やはりドイツでの学生生活は苦労の連続でした。

私にとって初めての海外長期滞在でもあり、大学の制度も不慣れなためでした。この修士時代は、「大変」の一言に尽きます。特に人間関係と学業で苦労しました。それは、予想を超える大変さで、ストレス性の病気にもなりました。

大学院時代は、ちょうど大学制度改革によって卒業に必要な要件が厳しくなり、学生がデモをしたり、出席簿を盗んだり、大講堂を封鎖して誰も入れなくなるようにしてボイコットしたり、普通では体験できないことを体験できましたが、私は外国人留学生ということもあり、卒業することだけに集中した傍観者でした。それは裏を返せば、卒業するだけで精一杯だったということです。

単位を揃えるまでは、発表とレポートの執筆と筆記試験の準備で目まぐるしい日々を送りました。そのおかげで、私の歴史学者としての学問的基礎を確立することができました。

こうした留学時代の実体験については、以下の記事でまとめています。

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修士論文のテーマは、『ワイマール共和国期の国防軍のイメージ戦略』です。主に国防軍のポスターを基に、国防軍の一般的な政策との整合性を考察しております。ワイマール共和国を選んだ理由は、ナチス時代はどうも好きになれなかったからです。

ジーゲン時代の写真

ジーゲン大学と旧市街

戦略コンサル時代

その後気が狂ったのか、戦略コンサルに興味を持つようにもなり、コンサルの世界へ飛び込みました。というのも、今まで学問ばかりしてきたのですが、自分がやっていることの意義が見えなくなってきたからです。

  • 「何で自分はドイツ史をやっているんだろう?」
  • 「こんなに頑張って史料を集めて何か書いても他の人にとって役に立つのだろうか?」

こうした疑問が湧いてきて、自分がドイツ史をすることに意味がないように思えてきたからです。

そして今度は一転してコンサルタントになったわけですが、コンサル会社では主に、中期経営計画策定支援、マーケティング戦略策定支援のプロジェクトに従事しました。今まで経営には全く興味もなく、勉強もしたことがなかったため、新しいことの連続でした。上司や顧客に怒られながら冷や汗をかくことの連続でした。

しかし、新しい領域で頑張るということは、新しいことをたくさん吸収するということでもありました。そのため、それまでの研究生活では全く習得できなかったようなスキルや考え方も得ることができました。この経験は、現在の研究生活を大きく支えるになっています。

しかし傲慢にも、コンサルで勉強できる・したいことはすべて学び取ったと感じアカデミックな世界へと舞い戻りました。やはり、私にとって学問が自分の故郷なのだと実感したからでもありました。

コンサルタント時代の話しと研究の世界へ舞い戻った経緯については以下でまとめています。

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ドイツでの博士課程時代

2017年の夏に、1年11か月という短期間で博士論文を提出し、2019年4月に口頭試問を終えました。

どうして博士課程で今の研究分野を選んだかについては、以下の記事でまとめています。

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この博士論文をもとに、本もドイツ語で出版しております。ドイツ語ですが、内容の解説を以下の記事(日本語)で行っておりますので、目次だけでも見てみて下さい。

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ドイツでの大学教員時代

現在は、大学教員を務めながら教授資格論文を準備しています。

現在では制度が変わりましたが、ひと昔前は、博士の上にあるこの教授資格論文(Habilitationsschrift)を通さない限り教授にはなれませんでした。今は、准教授(Jun. Prof.)という道もできました。ただ、やはり教授資格を持っているほうが、教授職の応募には有利なこともあります。

准教授のポストにつけるかどうかは、空きや研究資金の関係で運によるところも大きいので、自分の力量である程度左右できる教授資格の取得に集中しています。

ドイツでの大学就職はポストも少なく(どれほど少ないかというと、ドイツ全体で片手で数えられるほどのポストしたありません)、日本以上に茨なのですが、必死に頑張っている最中です。

ドイツの大学システムについては以下の記事で詳しく書いておりますので、ご興味のある方はご笑覧下さい。

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著書

上にも書きましたが、2019年11月にドイツ語で本も出しております。

日本の軍国主義、国策研究会、昭和研究会、社会ネットワーク分析

2015年12月には『ルーデンドルフ 総力戦』(原書房)を出版しました。ドイツ史関連の本ですが、ドイツ史の文脈だけではなく日本との関連でもわかりやすく論じていますので、お手にとってご覧ください。

他にもとっつきやすいテーマでも論文を書いています。

例えば、テキストマイニングによる歌詞分析という視点から、一般誌『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180918』2018年9月18日発売)上で「データで見る欅坂46。彼女らは何を、どのように歌ってきたのか」という論文を出版しました。

詳しい中身について以下の記事で紹介していますので、ご関心がある方は参考にしてみて下さい。

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その他の刊行論文、および研究業績一般については 【著書リスト】業績一覧(researchmap)をご覧下さい。

 

メディア出演歴

2019年9月6日:ラジオ番組「On the Planet」(午前1時~)にて、ドイツの付加価値税と軽減税率についてのインタビュー放送

言語能力

言語能力は以下のようになっています。

  • ドイツ語:問題なし
  • 英語:TOEIC 975/990
  • ラテン語:ドイツでラテン語上級試験 "Großes Latinum" (筆記試験+口頭試験)合格

ドイツ語

留学前にZOP(ドイツ語上級試験:最高レベルのC2レベルの試験)に合格しました。これで何とか、大学院の入学資格を満たしましたが、留学してから語学で散々苦労しました。しかしその苦労のおかげで、相当ドイツ語が上達しました。今のドイツ語レベルは、準母語レベルと自分では考えています。ドイツ人学生相手に日本史の授業もしています。

このような経験を通して得た、ドイツ語の上達のコツについては以下の記事で詳しく書いております。

英語

英語については英語圏には一度も足を踏み入れたことがありませんが、それなりに話せます。

TOEICは一度だけ受けました。対策も全くせず、TOEICの試験構成も知りませんでした。そうして適当に受けたのですが、まさかの975点。ドイツ語が出来れば、英語もある程度は出来るということの証明でしょうか。

ドイツ語と英語のどちらのほうが難しいのかについては以下の記事を書いております。

ラテン語

ラテン語は、大学院を卒業するために必要だったため、普通の専門授業と平行して必死に勉強して受かりました。卒業するために資格をとっただけなので、今ではほとんど忘れてしまいましたが・・・しかし、このラテン語での成功体験のおかげで私は留学を無事終えて、ドイツで修士号を取得できました。こうした経緯については、以下の体験談にも載せています。

ラテン語をドイツ語で学んだので、ラテン語をドイツ語には訳せますが、日本語には訳せません。慣れとは思いますが、私の頭の中では、ラテン語←→ドイツ語←→日本語という構造になっていて、ラテン語と日本語が直接結びついていません。

こうして学んだラテン語にはいくつかの面白い慣用句があり、好きなものもあります。その一つは以下の記事で紹介しております。

どうでもいいことですが、私の名前は「ともお」ではなく「ともひで」です。よく間違われるので。

ブログで伝えたいこと*1

書道家によるタイトル

ブログのテーマは、ドイツと日本の社会評論、語学、仕事術、エンタメといったテーマで、自分の身の回りの話を中心につづっています。ブログの記事はどれも、上で述べたような私の変わった経験を踏まえて書いており、他のブログでは読めないようなオリジナルな内容です。面白いと思った人にテーマ指定の上、寄稿もいただいております。

私は歴史家ですが、歴史学関係の記事はあまり書いておりません。専門的な話は論文で書き、こちらでは、専門とは離れて日々疑問に思うことを書くというスタンスをとっているからです。

新規・ニュース性で付加価値を出すのではなく、問題点への切り口で付加価値を出していければと思っています。

各カテゴリーごとの代表的な記事を以下で紹介したいと思います。

社会評論

ドイツと日本の比較

ドイツと日本を比較することで両国の特色を明らかにしています。ドイツを例に出していますが、ドイツを西ヨーロッパに置き換えてもある程度通用する点があるのではないでしょうか。

日常生活でどっぷりつかっているからこそできる日独比較論となっております。

日本から見たドイツ

日本ではほとんど報道されることがない、ドイツ社会の側面について、日本人の視点から書いております。

ドイツからみた日本

ドイツの例を見ることで、日本の問題点がより明らかになるテーマがあります。そうした事柄を、わかりやすいドイツ紹介とともにあぶりだしています。

日本について

日本社会の抱える問題について鋭く考察を加えています。どの記事も考えに考えた内容となっているので、日常耳にする問題を整理するためにご参考にして下さい。

語学

ドイツ語と英語について、効率的な勉強法からそれらの言語の特色まで語っています。

語学はあくまで何かを学ぶ手段でしかありませんが、侮ってはいけません。このコミュニケーション手段をマスターすることで、得られる情報の範囲が格段に向上します。

ドイツ語

ドイツ語はドイツの大学院を卒業していることもあり、日常レベルから大学レベルまでまんべんなく使えます。そうした日常の蓄積を生かして、上達のコツを記事にしています。

英語

英語は日常生活であまり使うことはありませんが、もともと英語でコミュニケーションをとっていたこともあった(ウィーンでのホームステイ時代。詳しくは体験談を参照)ので、問題なく使えます。

海外留学

海外留学や移住に関してあまり日本で知られていない情報を実体験をもとに述べています。

仕事術

戦略コンサルタントという経歴から、ビジネスシーンに限らず仕事を進めていく上での考え方の様々なコツについて、本当は教えたくないようなことまでさらけ出しています。

エンタメ

映画・ドラマ

映画・ドラマが大好きなので、おススメの映画やドラマについて書いております。特に海外ものが中心となっております。

観光

数多くのヨーロッパの国を旅行した経験から、観光する上でのおススメや注意点を書いています。

フォローのお願い

上に挙げたようなテーマに関して更新していきますので、もしご関心がありましたら、以下のようなSNSを通してフォローしてみて下さい。更新は不定期になりますが、必ず更新していきます。

Feedly Hatena Hatebu

ブログ歴

  • 2015年11月:開設
  • 2016年5月:独自ドメイン取得
  • 2016年6月:100記事達成
  • 2017年2月:200記事達成
  • 2020年1月:寄稿システム開始

*1:タイトルの画について:PC用・スマホ用ともに書道家である母に書いてもらっています。
タイトルの文字は画像処理で色を黒から紫に変えているために輪郭がオリジナルに比べて若干ぼやけています。